今年から始まるマイナンバー制度で、国民は固有の番号が割り振られることになる。新たなビジネスチャンスが訪れる一方で「どうやったって番号は漏れる」ともささやかれている。
「そもそもマイナンバーって何ですか。いったいわれわれは何をすればいいのでしょうか」
インターネットセキュリティ会社であるサイバートラストには、最近、こうした中小企業からの相談が後を絶たない。
3月9日から、「マイナンバーの通知っていつ届くんだっけ? 10月からだ」「お届けします。一人に一つのマイナンバー」といった内閣府のテレビコマーシャルが頻繁に放映されていることもあり、制度の開始は認知しているものの、肝心の中身が分からないと不安を抱えているのだ。
制度が本格的に始まれば、セキュリティ対策を取らなければならない。だが、個人、法人がそれぞれ何をすべきか周知徹底されていないまま見切り発車している印象だ。「セキュリティより、まず導入のコンサルティングサービスを充実させる必要がある」と同社担当者は指摘する。
国民一人一人に割り振られる12桁の番号「マイナンバー」。これまで、年金の基礎年金番号や、介護保険の被保険者番号など、分野や行政機関ごとにばらばらだった個人を特定するための番号を、国民一人一人に「個人番号」を振ることで統一、行政手続きの効率化を図ることが最大の狙いだ。
さらに、各機関が保有する税の申告書などの情報を番号にひも付け可能となることで、所得を正確に把握できるようになり、公平な税負担や社会保障のより的確な提供といった効果も期待されている。
そうしたマイナンバーの通知が今年10月から、利用開始が来年1月からに迫り、民間企業も導入に向けて大わらわだ。