成果へのコミットを命題に
「完全成功報酬制」を採用

 これまでM&Aの仲介は、大手銀行や証券会社、およびその関連企業などが行うケースが多かったが、ここ数年、インテグループのような専門会社も増えている。

 こうした企業の中から、どこに仲介を依頼するかを決める要素には種々あるが、やはり仲介費用、つまり報酬として支払う金額は大いに気になるところだ。というのも、M&Aには報酬体系を規制する法律もなく、会社によってかなりのばらつきがあるのが現状だからだ。

 藤井社長によれば、一般的には、仲介契約を交わした時点での「着手金」、相手企業とM&Aの基本合意に達した時に支払う「中間金」、最終的にM&Aが成約した時に支払う「成功報酬」の3つを要求する仲介機関が多いという。

「こうした報酬体系の場合、たとえM&Aが成立しない場合でも、着手金や中間金は戻ってきません。一概には言えませんが、着手金の相場は100万~500万円。中間金は、成約時の成功報酬の一定割合を前受けするのが一般的です」(藤井社長)

 このほか、事前契約を交わしていない業務が増えるたびに、追加報酬が加算されることもあるという。

「これでよいのだろうか」――。

 藤井社長は、事業承継問題を抱えていて「会社を譲渡したい」というオーナー企業の経営者に数多く会ってきた。なかには、他社に着手金を払ってM&A仲介を依頼したが、全く成果が出なかったので相談に来たという経営者もいたという。

 そこで同社では、「着手金」や「中間金」は一切受け取らず、あくまでもM&Aが成約した場合に限ってその対価を受け取る「完全成功報酬制」を採用することにした。

■同じ「成果報酬制」でも5倍の差
「移動総資産」に基づいて成功報酬を算定する場合、株式の譲渡価格による算定額の5倍にもなる
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「依頼主にとってリーズナブルなM&A仲介を提供したい」というポリシーの下、着手金も追加報酬も一切受け取らない。成約に至らなかった場合も、それまでにかかったコストは同社が負担する。

 また、同じ「完全成功報酬制」であっても、算定基準を「移動総資産」に設定している仲介会社もあり、これは「譲渡価格」を基準とした場合よりも報酬額は相当高くなることが多い(図のモデルケース参照)。

 インテグループでは、「譲渡価格」による基準を採用している。