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山田厚史の「世界かわら版」

TPPを国民投票に!
国会議員にさえ開示されない亡国の交渉

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第85回】 2015年5月21日
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Photo:ryooota-Fotolia.com

 「僅差であっても負けは負け」。住民投票は切れ味がいい。橋下徹の政治生命をバッサリ断った。ではTPP(環太平洋経済連携協定)を国民投票にかけてはどうだろう。

 国会決議までして交渉に臨む大問題である。一握りの外務官僚に任せず、国民に理解と判断を求めるのが民主主義ではないか。

 判断するには情報が必要だ。大阪都構想は投票所に「都構想の解説」が展示された。TPPは協定の文案も交渉経過も一切国民に知らされていない。重要だから国民抜きで、ということか。

 だからといって国民の一人ひとりが判断するのは現実的でない、という声はあるだろう。その通り。日本は代議制を採用している。国民は自ら選んだ国会議員を通じて国民主権を現実にする、と憲法に書かれている。国会はその機能を果たしているだろうか?

国民に余計な関心を持たれたくない?
難解だからこそ丁寧な説明が必要

 集団的自衛権の解釈や安保法制法案などは「難しい」「理解が追い付かない」と敬遠する人は少なくない。

 「発動の三要件」とか「緊急事態」「後方支援」など日常生活からかけ離れた概念を多用するプロの議論に国民は付いていけない。首相の周辺で方向を決め、外務・防衛省が肉付けし、与党協議で決定する。現場の記者は流れに遅れまいと、急ぎ飲み込み、垂れ流しのような記事を書く。既成事実として伝えられ、最後は首相が訪米し大統領と議会に「約束」した。

 政策や法律は複雑だ。難しいからできる限り丁寧に説明するのが筋だろう。ところが政府にその姿勢は見えない。

 余計な関心を持たれると誤解や曲解がはびこり面倒だ、と考えているのではないか。

 財務省がまだ大蔵省だったころ、私は担当していたが、大蔵官僚は「国民に知らせて、ろくなことはない。専門家が判断すればいい」という態度で、結局は金融破綻・財政危機を招いてしまった。

 安倍首相のやり方に不安を感ずるのは、国民の理解が追い付かないうちに自分の思い描く方向に日本を変えてしまおう、という態度がありありだからだ。

 国民が置き去りにされるのは安保法制ばかりではない。「国会無視」を象徴的に示す政策はTPPだ。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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