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経済は世界史から学べ!
【第14回】 2015年3月24日
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茂木誠 [駿台予備学校 世界史科講師]

“貿易を自由化したら、国が滅んだ!”
アヘン戦争に学ぶ「自由貿易」問題

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日本にとって、TPPによる貿易自由化は、避けては通れない問題です。しかし歴史に目を向けると、「貿易の自由化→長期のデフレ不況→国家崩壊」という運命を辿った国があります。何が問題だったのでしょうか?

「貿易の自由化」が国を滅ぼした!
いったいなぜ?

 2000年前から、中華帝国は周辺諸国の王たちを臣下とみなし、貢ぎ物を献上させてきました。周辺諸国と比べ、中華帝国のパワーがあまりにも巨大だったからです。

 イギリス東インド会社が、お茶や陶磁器を求めて広東省の港・広州に来航したとき、「ははぁ、イギリス人まで朝貢に来たのか」と清朝政府は勘違いしたのです。

 朝貢は儀式ですので、ややこしいしきたりがあります。船の数や入港回数は制限され、朝貢の品物もすべてチェックされます。広州には、清朝政府から独占権を与えられた公行(こうこう)という商人組合があり、イギリス商人は彼らとだけ取引をすることを許されました。イギリス商品は安値で買いたたかれ、利益が上がりません。

 しかし中国は巨大です。末端にまで中央政府の目は届かず、地方政府の官僚に汚職がはびこっていたのは今と同じです。イギリス商人は広州の貿易監督官を買収し、密貿易を開始します。一番よく売れた商品は、清朝では禁制品だったアヘンでした。

 これを問題視した清朝政府は、皇帝の特命により林則徐(りんそくじょ)を特別捜査官として広州に派遣します。林則徐は汚職官僚を摘発し、イギリス商館の倉庫に保管してあったアヘンを没収して処分します。

 イギリスの外相パーマストンは、自由貿易を推進する自由党の政治家です。自由党は、輸出産業を支持母体とし、徹底的な経済自由化政策を推進していました。

自由貿易論者のパーマストンから見れば、中華帝国の朝貢貿易は保護貿易主義の権化です。彼は、林則徐によるアヘン没収(イギリス商人の財産権の侵害)を口実にイギリス海軍を出兵させ、清朝に自由貿易を認めさせるべきだ、と主張します。イギリス議会は9票差で出兵を決議し、アヘン戦争が始まりました(1840年)。

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茂木誠(もぎ・まこと) [駿台予備学校 世界史科講師]

駿台予備学校世界史科講師。
「東大世界史、難関国立大世界史」等の講座を担当。映像を駆使したストーリー仕立ての講義は、「歴史の流れ」がわかると大好評。予備校の東大受験クラスから初学者まで、あらゆる学力の生徒を教えるテクニックがある。時事問題を歴史的な切り口から考察する『もぎせか館ブログ』を運営するブロガーとしての顔も持つ。

 


経済は世界史から学べ!

本連載は「世界史というレンズ」を通して、経済をより深く理解するというアプローチをとったものです。
経済(お金)に関する事柄は、ある日突然生まれたものではなく、歴史的な必然性を持って生まれます。
ゆえに、その歴史の必然性を知ることで、経済をより深く理解することができるのです。
増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc。
「そのとき、何が起こっていたのか」という歴史の流れを知ることで、経済の「なぜ」「どうして」がスッキリわかるようになります。
著者は、駿台予備校講師の茂木誠氏。「東大世界史」「難関国立世界史」等の講座を担当する実力派です。
歴史の流れをわかりやすく、そして深く理解させるプロフェッショナルが、「経済を世界史から学ぶ」という試みに挑戦します。

「経済は世界史から学べ!」

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