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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

「幸せになってはいけない」
生活保護シングルマザーを苦しめる罪悪感

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第11回】 2015年6月12日
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2015年4月1日から施行された生活困窮者自立支援法のポイントの一つは、「伴走型支援」だ。多様な困難や問題を抱えた人々に対し、その人に適した支援を行いつづけるかたわら、支援者が「伴走」するというものだ。

しかし現実を見ると、民間有志による懸命の支援にもかかわらず、シングルマザーたちは“生活保護を受けている”というスティグマに苦しめられ続けている。

生活保護シングルマザーを
苦しめるスティグマ

生活保護を受けているシングルマザーたちは、受給することが「権利」にもかかわらず、「申し訳ない」と思っている人が少なくない

 「このごろ、『生きる』とは何なのか、考えさせられるんです。私、人間は幸せになるために生まれてくるんだと思います。その追求をするのが、福祉の役割です。でも、その福祉で苦しむ人たちがたくさんいます。『幸せになってはいけない』と思い込まされて……何なんでしょうか? この世の中は?」

 こう語るのは、「大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)」代表として、子どもの貧困問題に取り組む徳丸ゆき子氏だ。子どもの貧困は、すなわち親の貧困である。CPAOは、最も「しんどい」貧困状況に陥りやすいシングルマザーと子どもたちを主な対象として、親・子ども・周囲の大人を「まるごと」支える活動を展開している。

 子どもに対しては、「待ったなし」で、すぐにサポートを開始することが必要だ。そのためには、母親と子どもを同時に公共または民間のセーフティネットにつなぎ、生活を安定させなくてはならない。数多くの困難を抱えた母子の場合には、生活を安定させる手段が、生活保護以外にないことも少なくない。

 「でも生活保護を受けているお母さんたちは、とても慎ましく、申し訳ながっているんです。たとえば、ファミレスで少しごちそうすると『おいしいもの食べちゃいけないと思う、生活保護だから』と」(徳丸さん)

 どういうことなのだろうか?

 「そのお母さんたち、『幸せだと思うのは申し訳ない』と思っているんです。そこまで思いつめているんです。『いいじゃないの』と言って、一緒に食べてもらうんですけど」(徳丸さん)

 生活保護だから、生活保護らしく。「恥ずかしい」と思うべき、スティグマ(烙印)を感じるべき。そういうプレッシャーは、私の接してきた生活保護利用者のほとんどが感じている。時に「働いたら損」「税金でラクする賢い選択をした自分」といった露悪的な言葉を口にする人々も、少し立ち入った会話をすると、強い自責の念や恥の意識やスティグマ感を持っており、その裏返しとして露悪的な言葉を口にしている場合が多い。

 「でも、福祉スティグマは、日本だけにだけあるわけではないんです。欧米にも、公的扶助に対するスティグマはあります。でも、内容と程度が全く違うんです」(徳丸さん)

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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