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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護削減で住めなくなる?
6児のシングルマザーを襲う危機

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第14回】 2015年7月3日
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2015年7月1日から、生活保護の住宅扶助(家賃補助)引き下げが実施された。特に引き下げ幅が大きいのは多人数世帯。既に行われた生活扶助(生活費)引き下げともども、生活を大きく圧迫されている。

今回は、生活保護に支えられて6人の子どもと暮らすシングルマザーの「これまで」と今後への不安を紹介する。心穏やかに日々を過ごし、子どもたちを育てることは、許されないゼイタクなのだろうか?

住宅扶助引き下げと転居に
不安を募らせる6児の母

住宅扶助の引き下げが、生活扶助の引き下げに続いて始まった

 2015年7月1日から、生活保護の住宅扶助(家賃補助)引き下げが実施されている。引き下げ幅は、大都市近郊と地方の多人数世帯で特に大きい。東京23区内の単身世帯に対しては、これまでの上限5万3700円が維持されているが、2人世帯では6万9800円から6万4000円へと引き下げ(5800円減)。埼玉県熊谷市では、1人世帯で4万7700円から4万3000円へ(4700円減)、5人世帯では6万2000円から5万6000円へ(6000円減)と引き下げられた。

 既に2013年8月から2015年4月にかけて、生活扶助(生活費分)の引き下げが行われており、子どものいる多人数世帯で特に引き下げ幅が大きかった。このことも考えあわせると、

 「政府は、子どものいる生活保護世帯に対し、貧困を連鎖させたいのか? 低所得層には、子どもを生ませたり育てさせたりしたくないのか?」

 という疑問を抱いてしまう。

 千葉県A市に住むYさん(36歳)は、中学3年~小学3年の6人の子どもを抱えたシングルマザーだ。Yさんは、今回の住宅扶助引き下げについて、

 「まだ、担当ケースワーカーから聞いていませんし、通知も来ていません」

 という。引き下げを知ったのは、さまざまな援助を受けている支援団体を通じてのことだった。現在の家賃は、6月30日までの住宅扶助上限額・5万9800円ギリギリだが、7月1日からはその住宅扶助上限額が2000円引き下げられる。

 「ケースワーカーが、突然、うちにやってきて『家賃の安いところに転居してください、そうしなくては保護を打ち切ります』と言うのではないか、と不安になっています」(Yさん)

 元夫からのDVで心身ともボロボロにされたYさんは、昨年、生活保護を利用して、子どもたちと一緒に現在の住まいに転居したばかりだ。現在は、精神科で治療を受けながら、家事と育児を辛うじて切り盛りしている。

 「子どもたちは父親を失い、生まれ育った街での人とのつながりを失い、大切な友達とも別れることになりました。約1年が経って、やっと、子どもたちも私も、安心して暮らせるようになりました。それなのに……生活保護受給者を精神的に追い込み、苦しめて、その先にあるものは、何なのでしょうか? 希望がありません」(Yさん)

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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