日本の景気後退リスクが意識され始めている。8月6日に発表された景気動向指数では、一致指数CI(コンポジット・インデックス)が前月比▲1.6ポイント、先行指数CIも同▲1.7ポイント低下となった。
内閣府は、8月の月例経済報告において、「景気は後退局面入りした可能性がある」と明言し、長らく続けられた「回復」の文言は削除された。民間の見方に対して、やや遅れがちとなる「官の景況観」が明白に転換したことは、「戦後最長」と比喩された今回の景気拡大が終焉することを示唆している。
鉱工業生産指数は、1~3月期、4~6月期と2四半期連続で共に前期比▲0.7%とマイナスになった。過去30年間において、同指数の2四半期連続のマイナスの場合、いずれも景気後退入りとなった重い事実がある。
また、6月の貿易統計において、輸出が55ヵ月ぶりのマイナスに沈んだことも大きい。北米向け輸出の一段の減速はある程度想定されたことだが、EU向けが2002年以来のマイナスとなったのはネガティブ・サプライズであった。
しかも輸出を牽引してきたアジア向けが、わずか+1.5%に急鈍化したとなれば、厳しい現状認識が当然といえよう。雇用においても、失業率の上昇、有効求人倍率の低下傾向が顕在化している。
景気後退期の企業業績が下振れするのは当然である。日銀短観の大企業全産業の経常利益計画は、重要な示唆を与えてくれる。リセッション期には、時が流れていくにつれて、経常利益計画が悪化傾向をたどっているのである。