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社内プレゼンの資料作成術
【第4回】 2015年7月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術
プレゼンは「ワンテーマ」に絞る!

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の「社内プレゼンの資料作成術」を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

テーマを絞らなければ、シンプルなプレゼンにはならない

 プレゼン資料を5~9枚にまとめる――。
 これが、社内プレゼンの鉄則です。そのためには、どうすればいいか?

 まず第1に、テーマを絞ることです。当たり前のことですが、複数のテーマについて一度にプレゼンをしようとすれば、伝えなければならない情報は増えます。その結果、5~9枚に収めるのが難しくなるのです。

 だから、「ワンプレゼン=ワンテーマ」が基本です。「あれもこれも」と一度に複数のテーマを扱おうとするのではなく、「あれ」と「これ」を小分けにして、1つずつ着実に決裁を積み上げることを心がけるようにしてください。それが、プレゼン資料を5~9枚に収め、わかりやすいプレゼンを行う第一歩なのです。

 たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。
 ある小売企業で店舗への来客数が大幅に減少していたため、経営陣から対応策を考えるように指示があったとします。部署内であらゆる問題を洗い出して検討した結果、「接客接遇の改善」「店舗のクリーンネス(清掃)」「店舗外装の変更」「什器の入れ替え」などの施策を総合的に進めるべきだと結論。「接客接遇研修の内容」「外装のデザイン」「什器の選定」「スタッフに徹底させる清掃ルール」など、それぞれの詳細を詰めていきました。

 この場合、提案内容のすべてを1回のプレゼンで済まそうとすれば、5~9枚の資料に収めるのはきわめて難しいでしょう。すべてを同時に進めるのか? それとも、優先順位をつけて順次スタートするのか? 接客接遇を優先するならば、なぜ、それを優先するのか? どんな研修内容なのか? 外装のデザインをどう変えるのか? どんな什器を選ぶのか? どんな清掃ルールなのか? そのルールはオペレーション可能なのか? 予算はいくら? 実施スケジュールは? 実施した効果は? このように、説明しなければならないことが多すぎるからです。

 私ならば、次のようなステップに分けてプレゼンすることを考えます。
 まず、一連の施策を総合的に進めることを提案するプレゼンをします。そのうえで、最優先すべき施策として「接客接遇の研修」の承認を得、その後、順次、「清掃のルール化」「什器入れ替え」「外装変更」と各論についてのプレゼンを個別に積み重ねるのです。

 このようにテーマを小分けにすれば、それぞれ5~9枚の資料にまとめることが容易になります。もちろん、5~9枚の資料にまとめられるのであれば、2つのテーマをまとめてプレゼンしてもOKですが、慣れないうちはできるだけテーマを分けるようにしたほうがいいでしょう。

一歩ずつ「陣地」を広げる戦略が正解

 テーマを小分けにする効果は、シンプルなプレゼンにすることだけではありません。もうひとつ重要な意味があります。そうすることで、着実に自分の「陣地」を広げていくことができるのです。

 どういうことか?
 たとえば、「店舗外装の変更」の具体策についてプレゼンしたところ、「新しい外装デザインがイメージに合わない」と差し戻しになったとします。しかし、「すでに店舗外装の変更」を行うことの決裁を得ているならば、次回、デザインについて再度プレゼンするだけで済みます。つまり、それまでのプレゼンで確保した「陣地」のラインを越えて撤退する必要がないのです。 

 もしも、すべてを1回のプレゼンに盛り込んでいたらどうなるでしょうか?「あれもこれも」と詳細にわたるプレゼンをすると、往々にして細部をつつくような指摘がされるものです。おそらく「外装デザイン」だけではなく、「あれもこれも」とダメ出しをされる。その結果、すべてを差し戻されてしまう危険性があるのです。

 そうなると、獲得した「陣地」はゼロ。それまでに積み重ねた努力と時間がすべてパーになってしまうのです。これでは、あまりに非効率です。
だから、テーマを小分けにして、1つひとつ決裁を積み上げることで、着実に「陣地」を広げる戦略が重要なのです。

 しかも、テーマを小分けにすることによって、提案にもスピード感が生まれます。詳細まですべてを決めてからプレゼンしようとすると、どうしても時間がかかってしまいます。それでは、会社の事業スピードが上がらないのはもちろん、「いつまでかかるんだ?」と決裁者の心証を悪くしてしまいます。

 それよりも、テーマを小分けにして、短いサイクルで次々と決裁を取っていったほうがいい。まず大きな方針について決裁を得て、そのうえで詳細についての決裁を得ていくイメージです。それだけで、決裁者は「ちゃんと検討を進めているんだな」と安心するとともに、あなたに対する信頼感も強くするはずです。この心理も採択率を高める要因となるのです。

 

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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