社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の『社内プレゼンの資料作成術』を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

「あれもこれも説明しよう」としない

 シンプル&ロジカルなプレゼン資料――。
 これが、社内プレゼンを成功させる鉄則です。ここまで、そのコツをお伝えしてきましたが、シンプルな資料にするためには、もう1つ重要なポイントがあります。それは、「あれもこれも説明しよう」としてはならない、ということです。

 私たちは、企画や事業内容を検討する際に、数多くのデータを集めます。そして、根拠をしっかりと固めてから、プレゼン資料の作成に着手します。これは、当然のことです。ところが、これが複雑なプレゼン資料を生み出す原因ともなってしまうから、要注意です。

 というのは、「抜け漏れ」のないロジカルな資料をつくるために、私たちは、検討過程でかき集めたデータや要素のすべてを盛り込もうとしてしまいがちだからです。

 もちろん、資料は徹底的にロジカルでなければなりません。しかし、本編資料に「あれもこれも」と要素を盛り込めば、とてもではありませんが「5~9枚」に収めることはできません。結果として、決裁者にとって非常にわかりづらいプレゼンになってしまうのです。

 では、どうすればいいのでしょうか?
 取捨選択をするしかありません。
 本編スライドには、決裁者を説得するに足る、最も強力な要素だけを盛り込んで、骨太なロジックだけを示す。それ以外の補足的な要素は、すべてアペンディックス(別添資料)にもっていくのです(下図参照)。そして、プレゼン後に決裁者から「この件は検討しなかったのか?」などと質問されたときに、アペンディックスから該当するスライドを表示して、適宜説明していけばいいのです。

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術<br />シンプルなプレゼン資料をつくる「捨てる技術」!

決裁者にとって「最重要な要素」は何か?

 たとえば、本連載第4回以降で例示している「店長研修」のケースであれば、おそらく「接客接遇研修を最優先すべき」ことを裏付けるためにさまざまなデータを確認したはずです。

 顧客アンケートを取るのはもちろん、ミステリーショッパーに調査を依頼したかもしれませんし、現場で働いているスタッフのアンケートも取ったかもしれません。あるいは、インターネット上で自社店舗に関する書き込みを集めて分析したかもしれません。しかし、これらすべての要素を本編スライドに盛り込めば「5~9枚」には収まりません。

 そこで、決裁者にとって最も説得力のある要素だけを本編に盛り込み、それ以外はアペンディックスに収めるのです。私ならば、本編スライドには「顧客アンケートの結果」しか示しません。なぜなら、決裁者が最も重視するのが「顧客の声」だからです。その意味で、それ以外の「ミステリーショッパーの調査結果」「スタッフのアンケート結果」などは補足的なデータですから、これらはすべてアペンディックスに格納するのです(下図参照)。このいわば「捨てる技術」が、シンプルなプレゼン資料をつくるうえできわめて重要なのです。

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術<br />シンプルなプレゼン資料をつくる「捨てる技術」!

 こうして、最も重要なスライドだけを本編スライドに入れることで、はじめて「5~9枚」のシンプルな資料が出来上がります。

 ですから、シンプルなプレゼン資料をつくるうえで重要なのは、「コトの軽重」を見極めることです。「提案内容を伝えるために最も重要な要素は何か?」「決裁者にとって最も説得力のあるデータは何か?」。そういった視点で企画の検討段階でかき集めた要素の「軽重」を見極める力こそが求められているのです。

(本稿は、『社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)