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高橋洋一の俗論を撃つ!

東京五輪で採択すべき
最も経済効果が高い新競技とは

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第126回】 2015年8月10日
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新国立競技場をはじめとする
施設のコストを賄う方法を考える

東京五輪で新競技として何が選ばれるか、注目されているが…

 新国立競技場の建設計画が白紙になった。もっとコストをかけないで建設しろという国民の声が多いが、他の施設も建設費用が当初見通しより高騰していると言われている。施設の建設費や運営のコストをうまく賄うためにはどうしたらいいのだろうか。

 どのようなスポーツであっても、原理は同じで、設備投資と同じように考えればいい。ただし、スポーツを商業ベースに乗るものと乗らないものに分けて考えると、より具体的になる。

 サッカーなどの商業ベースのスポーツであれば、施設の建設費や運営のコストが適正かどうかを客観的に評価するための比較的簡単な測定法がある。

 例えば、耐用年数が50年として、当初の建設費、毎年の維持修繕費・管理費、最後の解体費等の運営コストをすべて合算(将来のものは適当な割引率を乗じる)し、総費用を算出する。一方、毎年の収入の見通しを合理的に行い、これらを合算して総収入が算出される。総費用と総収入が同じになるような、当初の建設費とその後の運営コストが妥当な水準になる。もちろん、この場合、収入の見通しが一番重要であるが、見積もりを誤れば、商業ベースとしては失敗策になる。

 陸上などの商業ベースに乗りにくいスポーツの場合、将来の収入は国などからの公的支出になる。この公的支出額がどう決まるかを見積もるのは難しい。というのは、公的支出額は国民が出してもいい金額になって、そのスポーツへの国民の期待が反映されるからである。例えば、競技人口の少ない競技には、多くの公的支出を割くことができない。逆に、競技人口が多ければ、商業ベースに近づき、公的支出は不要になる。

 今回の新国立競技場の建設について、モデルとしては、横浜の7万人収容の日産スタジアムが想定されていた。これは、関係者のヒアリングからわかっている(本来であれば、民主党政権時代のことなので、情報公開されるべきだ)。日産スタジアムを例として考えると、厳密なものではないが、おおざっぱに計算して、毎年の収入は30億円程度を見込んで、それから運営コストは毎年3億円、建設費は600億円程度になっているのだろう。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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