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吉田恒のデータが語る為替の法則

「裏切りのシーズン」に突入したドル/円は
「利上げ前のドル高」の最終関門に入った

吉田 恒
【第73回】 2010年3月31日
著者・コラム紹介バックナンバー

 米ドルが対円でも、この間のレンジを上放れした感じになってきました。

 ただし、3~4月の「春相場」には、米ドル/円が反対方向に動きやすいという経験則があります。とりわけ、3月末と4月初めは、相場観の大勢が裏切られやすい「裏切りのシーズン」です。

 ここからもう一段の米ドル高・円安に向かうのか、この1~2週間が正念場なのかもしれません。

 下の表は、直近10年間において、2ヵ月間の米ドル/円の方向性が何回一致したかを調べたものです。

 これを見ると、3~4月は、この10年間のうちで9年も逆方向に動いていたことがわかります。

 3月が円高なら4月は円安、3月が円安なら4月は円高となっていて、このことは、米ドル/円が逆に動きやすい「春相場」と言えるでしょう。

 そのような「春相場」を集約したタイミングが、3月末、4月初めであったことが、これまでは多かったようです。

 3月末は、大半の日本企業の決算期末です。為替はレンジ相場が続くものの、4月新年度入りにあたって一方向に抜け出した相場はすぐに行きづまり、結果として、レンジ放れが「ダマシ」だったというケースが少なくなかったようです。

 昨年もそのような動きでした。

 2009年の場合は、4月初めにかけて米ドルが100円を突破し、マーケットで一段高期待が高まったものの、結果的には、4月初めにつけた101円台でアタマを打ってしまいました。

「まちがいなし!」の相場観が
あっさり裏切られる!?

 誰もが「まちがいない!」との見方で一致した相場観が、あっさりと裏切られる。そんな「裏切りのシーズン」の代表例は、2004年3月でした。

 当時は、2003~2004年と、日本政府がデフレ下の円高回避に向けて未曾有の規模で市場介入を行い、それによって、円高は105円で歯止めがかけられました。

 ところが、その「異常な介入」が3月前半で中断したようなのです。

 ただ、1年以上も続いてきた「異常な介入」の終了を、為替市場の関係者の多くは、にわかに信じませんでした。ひょっとすると「やめたふり」をしているのではないかと――

 そもそも3月末は決算期末であるだけに、取引は手控えられ、介入不在の中でも円高は進まず、為替相場は不気味な小動きが続きました。

 しかし、3月末の日本時間午後になり、日本企業が実質的に新年度入りすると、「異常な介入」が本当に終了したかどうかを、いよいよ試す機運が広がりました。

 当時の感覚からすると、米ドル安・円高が105円で止まっていたのは介入で人為的に支えられていたためで、市場介入が行われなくなったら節目の100円を割り込み、どこまで下がっても不思議ないムードが強くありました。

 実際に105円割れとなると、104円台を素通りし、一気に103円台へと急落しました。それでも、為替介入という「鬼」は出現しません。

 「鬼」がいなくなったことを確認した以上は、103円台も米ドル一段安の「通過点」に過ぎない、それが当時のコンセンサスだったと思います。

 ところが、このコンセンサスはあっけなく裏切られることになったのです。

 「鬼」が出てこない中で、103円台で米ドルが底を打つと、その後は半年も米ドル底値の記録として破られることはありませんでした。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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