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なぜ「エリート社員」がリーダーになると、 イノベーションは失敗するのか
【第3回】 2015年9月18日
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井上功

あらゆるコトの二面性に焦点を合わせると
イノベーションが磨かれます

ここからは、How、つまり注目したコトをどうやって磨き、イノベーションを起こしていくかについて、事例を交えながら説明します。まずは、コトの二面性に焦点を合わせてみます。新刊『なぜ「エリート社員」がリーダーになると、イノベーションは失敗するのか』から、抜粋してお送りします。

 コトの例として、経営で大切なテーマについて考えてみましょう。

短期的視点――長期的視点
凝集性――多様性
論理――感情
外部環境適応―― 内部組織統合
顧客―― 効率
競争―― 調和
ラーニング――アンラーニング
戦略―― 組織
価値――コスト

 経営は矛盾のマネジメントと言われますが、経営のテーマを考えると、このような対極にある概念が思い浮かびます。

 投資家は短期的視点で事業計画を精査し、収益向上を常に求めます。しかし、経営者が短期的視点に終始してしまうと、長期的なビジョン実現などの目的がおろそかにされてしまいます。

 凝集性(一体感)を高めることは、マーケティングにおいてはきわめて有効です。一方、さまざまなものの見方や考え方を受け入れなければ、イノベーションを起こすことはできません。

 徹底的な論理的思考は戦略を合理的に推進するために必要不可欠です。ただし、人間は感情的な生き物なので、論理だけでは動きません。

 時々刻々と変化する外部環境に柔軟に適応することは、企業が進化・発展していくために必須の条件です。しかし、組織内部を統合すればする程、変化に対する対応力が弱まってしまいます。

 企業において顧客は第一に優先されるべき存在です。そのためには時として効率を無視した行動も必要でしょう。かと言って効率を考えなければ経営とは言えません。経済的成果を得られなければ、企業活動ではなくボランティアです。

 競争の促進はビジネスの活性化のために必要不可欠です。企業は必ず他社との競争にさらされていますが、同時に協調や調和も必要になっています。今日のビジネス社会では一人勝ちではなく、WIN ――WINの関係が求められます。継続的に学習することは成長に不可欠です。ただ、そこで学んだことにこだわり過ぎてもいけません。

 学習の成果に満足していると、停滞や固定化を招きます。批判的精神を持ち、必要に応じて学んだことを捨て去り、学び直しを行うことが大切です。

 組織は戦略に従います。それは真理のように思えます。しかし、時として戦略が組織に従うこともあります。組織がなければ戦略遂行はできないからです。顧客は価値を購入するわけですから、価値の追求は徹底しなくてはいけません。同時に、コストの追求も行う必要があります。一つの価値に対して無限にコストを支払う顧客は存在しないからです。コストパフォーマンスの考えを忘れてはいけません。

 このように経営には常に二面性があります。したがってコトの本質を捉えようと思ったら、その両極を考え抜く必要があるのです。

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