不動産評価手法変更の裏を読め!
値上がりする物件選びの新基準
「マンションを買う前には、周辺の物件の家賃水準を調べよう」
そう言われて、「それは利回りを調べるためですか?」とピンと来る人は自宅投資のセンスがよい。自宅投資は、「貸した場合にローン返済に見合う額で貸せるか?」が問われ、今は利回りが基準になる時代だからだ。
しかし、2000年頃まではそうではなかった。そこで今回は、私が2002年に提唱したマイホームの「利回り革命」の全貌を明かし、その法則を基に、これから値上がりする物件選びの新基準を提示したい。
土地神話が生きていたバブルの頃までは、自宅の利回りが2%なのに、それを買うためのローンの金利が8%という、投資採算から見て考えられないアンバランスな状況まで行ってしまった時期があった。これでは借金して家を買う投資は、物件価格が大幅に値上がりしない限り「大赤字」だ。
そうした現象はなぜ起こっていたのか。それを一言で簡単に説明すると、以前は不動産価格査定で、取引事例比較法だけが重視されていたことによる。取引事例を基準にすると、お隣さんの土地が高値で取引されればこちらも上がるというように、物件価格がバブル化して際限なく上がる傾向になり、「上げ」が「上げ」が呼ぶ時期もあった。
戦後、1950年代から70年代までは、10年ごとに人口が約1000万人も増える時代が続いた。経済成長も「右肩上がり」の時代があった。インフレ基調で不動産も上がったが、家賃も上がっていた。そんな時代、「マイホーム売買も利回りできちんと見るべきだ」という主張はなかった。マイホームは夢を実現させるために買うもので、投資ビジネスではないから、「利回りなんて関係ない」という世界だった。
ところが21世紀に入ると、不動産の収益について、「投資額(マンション価格)に対してどれだけ稼げるか?」という尺度が使われ始めた。従来の常識はいかに崩れていったのか。
ここでいう利回りとは、家賃収入(インカムゲイン)により何年で購入額の元が取れるかという計算結果を言う。20年で回収できるなら、「1÷20=0.05」なので、利回りは5%となる。過去のように「所有している」だけでは資産価値は上がらないので、その住宅を賃貸した際の収入(インカム)が問われる時代に変わったのだ。