ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
China Report 中国は今

インフラ、交通、海外客誘致…
課題山積の上海万博開幕前夜

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第49回】 2010年4月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 もうまもなく開幕する上海万博だが、現地メディアの報道はなぜか弱々しい。いつもの派手さが感じられず、却ってそれが不自然に感じる。宣伝やスローガンはお得意なはずだが、一体あの自信はどこへ行ってしまったのだろうか。

 「万博の精彩を犠牲にしても生活への影響が少ない方がいい」――。4月1日の「東方早報」は、開幕30日を前にして記者会見を行った上海万博の執行委員会主任・モ瘰ウ声氏(*)の発言をそのまま引用してこんな見出しをつけた。

(*)上海市委員会書記でもある。

上海最大の観光名所、東方明珠の足元では4月に入っても工事が続く

 タブロイド判2ページのボリュームで同氏の発言が掲載されたが、見て取れるのは、今彼が置かれている“非常に苦しい立場”だ。

 記者団の関心は当然、会場内外の建設の進捗に向けられたのだが、それについて同氏はこう回答した。

 「開幕前に完成できないとは聞いていない、問題があるとすれば各パビリオンの進度ではないか」、「上海の真実の姿は万博会場だけではない、完全無欠の上海で開催することなどありえない、真実の上海には先進的一面もあれば困難や問題も存在する」。

 計画通りに進んでいないことに由来する、苦渋に満ちた発言とも読み取れる。

愛知万博の4時間待ちを例に
「日本に学べ」と覚悟を要求

 また、市民にはこんなアナウンスを送っている。

 「来場者はとにかく並ばなければならない。入館はVIPや外国の賓客、スポンサー関係者、地方からの代表団が優先されることは理解してほしい」。

 「行ったところで大混雑」であることは誰の目にも明白だ。ある意味、来場者の忍耐力とルールの遵守が試される万博会場だが、お決まりの「並ばない、割り込む、そして言い争い」に発展することは想像に難くない。

 市民が我慢の限界を超え、場内で混乱をもたらすことを想定したのだろう、同氏は「愛知万博での4時間待ち」を例に挙げ、その秩序を崩さなかった日本に学ぶべき、と市民に覚悟を要求した。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


China Report 中国は今

90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

「China Report 中国は今」

⇒バックナンバー一覧