質疑に先立ち、小野寺議員は、鳩山首相が昨年9月の国連気候変動首脳会合で、「すべての主要な国による公平かつ実効性ある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意」を前提として、「温室効果ガスを1990年比25%削減する」との方針を公表した時に起きた拍手が、賞賛ではなく、あざけり笑いの拍手だったのではないかと皮肉った。自分で、自分の国の首を絞めているというのが、その理由だ。

 そのうえで、日本が25%削減を行う前提条件として掲げている「主要国の意欲的な目標の合意」について、その範囲と目標の具体的な数値を問いただしたところ、首相は「引続き交渉中であり、申し上げることは控えなければならない」と逃げた。

 次に、小野寺議員は、政府が25%削減が国民生活に与える影響に関連して、小沢鋭仁環境大臣の試案という形で、国内経済や雇用にプラスになるモデルだけ2つ紹介し、悪影響がでるという分析を示していない問題を指摘した。そして、なぜ、この影響分析が環境大臣試案であり、経済産業大臣や厚生労働大臣が連携して責任を持つ体裁が整っていないかを追及した。要するに、国民生活や雇用、産業競争力に及ぼす影響の政府の統一見解がないことが、法案の審議には不十分なことだと責めたのである。

 ところが、首相は、「経済モデルには、構造や前提が異なる様々なものがあって、国民生活、雇用、産業競争力への影響、などの試算結果も異なってくるため、政府としてただひとつのモデルを政府見解として示すことは困難だ」と惚けただけ。肝心の政府が都合の悪いモデルを示さなかったことの責任には言及しなかった。

 半面、首相は、気候変動問題を第2の普天間になぞらえる見方が増えていることに対して、「難しいテーマにチャレンジするのが新しい政権でございます」と、大見得を切ってみせた。

 政権発足以来、そうした大見得を裏付ける根拠・成果を政権があげていないことを省みない自画自賛の言葉が空虚に国会に響いたのだった。そして、再質疑に立った小野寺議員に、「困難な問題に取り組むのが鳩山政権なのではなく、問題を混乱させるのが鳩山総理だと思っています」と冷笑される始末だった。

地球温暖化の根拠さえ揺らぐ中
削減実行を強引に促す民主党案

 筆者は、温暖化ガスの削減目標を国際公約と国内目標の2つに分けて設定し、国際公約については今後の国際交渉の行方を見極めたうえで決定することとする一方、国内目標を真水で2020年までに2005年比で15%の排出削減を目指すという自民党案にも賛成はしかねる。

 むしろ、世界では、研究者や団体の不適切な観測データの取り扱いが明らかになり、地球温暖化という自然現象が本当におきているのかどうかにすら疑問の声が上がっているからだ。

 まして、民主党案は、3月5日付の本コラム記事「国民に重税を強いる悪夢 温暖化対策法案を急ぐ政府への不信」で述べたように、強制的に国民全体に重い負担を課す恐れのある施策を始め、一部の人だけが得をする施策、それだけではCO2の排出には役立たない施策などの愚策がズラリと並んでいる。