ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
夢は目標ではなく、成長の手段である。
【第5回】 2015年10月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
藤田聰

ヘッドハンティングされて喜ぶ人は成功しない

突然電話に知らない番号からかかってきて、「今の仕事に満足していますか?」「あなたにはもっとふさわしい職場がある」と言われたら、あなたならどう思うだろうか。
自身もヘッドハンターの経験があり、ビジネスパーソンの「市場価値」を研究している藤田聰氏によると、「ヘッドハンターの誘い文句に浮かれてしまう人は要注意」だと言う。

転職の誘いに舞い上がるのは
現状に不満があるから

 景気が上向いているせいなのだろうか、特に大手企業で働く30代前半のビジネスパーソンから、転職相談を受けることが多くなった。

 実際、人材紹介による転職は年々増えている。矢野経済研究所による「人材ビジネス市場に関する調査結果2014」によれば、2014年度の人材紹介市場の規模は2013年度比111.5%の1450億円になると予測されている。

 先日、大手総合電機メーカー勤務の浅田さん(仮名、33歳)が「相談がある」というので会ってみると、舞い上がった調子で話してくれた。「生まれて初めてヘッドハンターから電話があり、転職の誘いを受けた。自分が評価されていると思うと、純粋に嬉しい。今いる会社の先が見えてきたので、悩んでいるところだった。条件もよさそうで、絶好の機会かもしれない」。表情は有頂天面だ。

 率直に言って、彼と話して10分もしないうちに、「この転職は失敗する」と直感した。なぜなら、ヘッドハンターの誘い文句に対して、あまりにも浮かれていたからだ。

 確かに突然のヘッドハンティングで「あなたはもっと評価されていい」「あなたを必要としている会社がある」などと褒められて、舞い上がる気持ちもわかる。ただこの手の誘い文句に強く魅かれるのは、「現在の職場に不満を持っている」人だ。現状に満足している人なら、そこまで心は動かない。

 「会社からは評価されているものの、今いる環境ではやりたいことができない」「周りから刺激を受けられない」というような前向きな不満なら別だが、浅田さんからは「会社は自分のことを全然評価してくれない」という後向きな態度を強く感じた。このままいくと浅田さんは、新天地でも同じように不満を持つ可能性が高い周囲の評価は、往々にして客観的で正しいからだ。

ヘッドハンターの報酬体系を知れば
誘い文句も冷静に受け止められる

 浅田さんのように初めてヘッドハンターと会うという人がいたら、誘いに浮かれないためにぜひ知ってほしい事実がある。彼らの給与体系は、成功報酬であることが多いということだ。

 一般的には、決定年収の30%前後がヘッドハンターの売上高になる。例えば、転職者が600万円のポジションに決定して入社すると、180万円(30%の場合)売上高を立てたことになる。決まらない、もしくは、決まっても入社を辞退された場合は0円だ。

 売上高に応じて給料が支払われるのだから、ヘッドハンターが転職を勧めてくるのは当然のことだ。現在では悪質な人はほとんど見かけないが、インターネットが普及する前は、求職者に平気で「毒まんじゅう」(今でいうブラック企業)を喰わせよう(転職させよう)とする人がゴロゴロいたものである。

 理髪店に「髪を切るべきか」と聞けば「切るべきだ」と答えるのと同じ。彼らの意見は冷静に、客観的に受け止めるべきである(もちろん客観的な意見をくれる信頼すべきヘッドハンターもたくさんいるが)。

転職したいなら、
今いる企業の「上位2割」になれ

 転職が「悪」だと言うつもりはない。前向きな理由によるものであれば、是非検討すべきである。いちばんよい転職は、取引先からの引き抜きだろう。お互いの仕事ぶりが評価され、好条件での転職が期待できる。

 複数のヘッドハンターと話すと、「うまくいった転職は2割、うまくいかなかった転職は8割」と言う人が多い。この数字は筆者も正しいと思う。どんな組織も、優秀な2割、凡庸な6割、優秀でない2割に分かれるという「2:6:2の法則」とも合致している。転職したいと思うなら、まずは今いる企業の上位2割を目指して、あなたの市場価値を高める努力をしてほしい

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


藤田聰(ふじた・さとし)

株式会社企業変革創造代表取締役社長。市場価値測定研究所所長。慶應義塾大学大学院経営管理研究科専修(修士課程)。日本IBM、組織人事コンサルティング会社役員を経て独立、現職。 「日本企業特有の人間関係構築スキル」は労働市場では無価値であることを伝えるため、市場価値を数値化したモデル「市場価値測定テスト」を開発。日立製作所などをはじめとした大企業で働くビジネスパーソンのキャリア設計に携わる。著作に『あなたのホントの「市場価値」教えます』(祥伝社)など。


夢は目標ではなく、成長の手段である。

あなたの「市場価値」がいくらか、考えた事はありますか?
ちょっとした心がけで、労働市場で評価される人間になることは可能なのです。
今まで日立製作所などで50万人のキャリア開発と設計に携わってきた藤田聰氏に、
「市場価値」の上げ方を解説していただきます。

「夢は目標ではなく、成長の手段である。」

⇒バックナンバー一覧