ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
DOL経営解説委員会~経営の達人が教えるリーダーの教養

モス、しまむら、セイコーマート…
あの企業を成功に導いた「独自の勝ちパターン」

内田和成・早稲田大学大学院商学研究科教授

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授]
【第4回】 2015年10月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

国に頼れる時代ではなくなった
企業は自らの「勝ちパターン」を考えよ

日本経済の成長が終わった今、企業はどのように生き残っていけばいいのか。実は、業界のガリバーに負けない「独自の勝ちパターン」を持つ企業はたくさんある

 企業が勝ち残るための競争戦略とは、どんなものでしょうか。それを語る前に、まず国、企業、個人、というマクロの視点から「競争力とは何か」を考えてみましょう。

 過去の日本では、国と企業と個人の三者が「WIN-WIN-WIN」の関係でした。国の経済が成長すると企業の業績が良くなり、企業が栄えるとそこで働いている社員のポジションや給料が上がって個人も暮らし向きが良くなる。一方で、個人が頑張れば企業の業績が上向き、企業が栄えると国の経済も成長する――。こうした好循環があったのです。

 ところがバブル崩壊以降、この好循環が崩壊してしまった。今では、国は国として、企業は企業として、そして個人は個人として、各々が生き残るための戦略、つまり「勝ちパターン」を考えなくてはいけない状況になっています。

 たとえば国レベルで見ると、自国のマーケットが大きな国とそうでない国とでは、当然戦い方が違ってきます。アジアでは、シンガポールが広い国土や多くの労働力を持たない小国なのに頑張っている。自分たちでモノづくりをするのではなく、グローバルにおける金融センター、貿易中継基地、医療の先端基地を目指すという、独自の「勝ちパターン」を考えてきたからです。

 それに対して、安い労働力が豊富なインドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの新興国は、現在は高度成長期の日本と同じように、世界の生産基地を目指すことが「勝ちパターン」と言えます。シティと肩を並べる金融都市を育成することが、国力を上げることになるとは思えません。

 個人を見ても同じです。皆が大企業に就職することを願い、そこで同じような仕事をして生きていけたのは、経済が成長していた過去の話。今は自分が本当に成長できる職場を選んでそこで力を付けるという発想で仕事をしないと、厳しい社会で生き残っていけません。

 国や個人と同じように、そろそろ企業も国に頼る経営をやめたほうがいいと、私は思っています。企業は、国が経済成長しているときには、他と違うことをやるよりも国の施策に従ってビジネスをやるほうが成長できる。しかし成熟した国においては、国の施策に乗るのは得策ではありません。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 


DOL経営解説委員会~経営の達人が教えるリーダーの教養

企業経営に携わるリーダーたちには、経営戦略、ガバナンス、リーダーシップ、組織、イノベーション・マネジメント、そして自社を取り巻く経済環境の分析など、経営に関する様々な分野の知識が求められる。当連載では、企業経営に携わる読者に対し、経営学の教授、コンサルタント、実業家など「経営の第一人者」と呼ばれる識者たちが、「特任解説員」として専門分野における重要テーマを解説していく。彼らの提言からは、企業経営に関する深い教養を得られるはずだ。
 

「DOL経営解説委員会~経営の達人が教えるリーダーの教養」

⇒バックナンバー一覧