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新聞記事から学ぶ経営の理論
【第9回】 2011年6月22日
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渋井正浩 [エムエス研修企画 代表取締役]

なぜラーメンの日高屋は
マクドナルドと吉野家の隣にあるのか
強敵を集客に利用する究極のコバンザメ戦略

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あえて外食産業の王者と店を並べる日高屋

 夜の駅前の繁華街。一杯飲んだ後にラーメンというのはビジネスマンの定番コースですが、以前はよく目にした屋台のラーメン屋にとんとお目にかかれなくなりました。その代わり、最近よく目立つのがラーメンチェーンの新興勢力「日高屋」です。

 日高屋は中華そば390円、ギョーザ190円と懐事情の厳しいサラリーマンにとって気軽に利用できるとてもありがたい存在。業績も好調で2011年2月期決算では、売上高248億円、営業利益31億円と8期連続の最高益を更新中です。

 そんな日高屋ですが、店の周りを見渡すと必ずマクドナルドや吉野家があるのをご存じでしょうか。

 「駅前の繁華街なんだから、偶然軒を並べていたっておかしくないじゃないか」とお感じになるかもしれません。しかし偶然ではありません。日高屋は外食産業として競合する2社の店舗の近くに意識的に出店しているのです。競合店の近くに出店したら、お客が入らないと普通は考えるでしょう。ましてや相手は外食産業の巨人、マクドナルドと吉野家。日高屋より歴史も古く、固定ファンもたくさんいて、売上高、店舗数ともに日高屋の数倍もある。そんな外食の絶対王者の近くに新興の日高屋がわざわざ店を出している理由は何でしょうか。

 今回はこの日高屋の出店戦略を「敵の強さを利用する“コーペティション戦略”」で解き明かしていきます。

コバンザメ商法で出店すれば、
立地調査をする費用がかからない

 日高屋(会社名:ハイデイ日高、東証一部)は現会長の神田正氏が1973年に埼玉県でラーメン店を開店したのがルーツで、1993年に東京に進出し、1999年には株式を公開。今では首都圏を中心に約270店舗を構えるまでに急成長を遂げています。

 この日高屋の成長を支えてきたのが独自の出店戦略。その出店戦略とは、先行して多店舗展開していたハンバーガーのマクドナルドや牛丼の吉野家の近くに店を出す、というものです。マクドナルドはハンバーガーチェーンで長年トップの存在、吉野家も最近は勢いが衰えていますが、かつては牛丼チェーンでトップを走っていた存在。そんな2社の近くに日高屋が意識的に店を出すのは、いかにも無謀な戦いを挑んでいるように思えます。

 ところがそこには創業者神田氏の類まれな洞察力と長年の経験に裏打ちされた戦略が隠されています。

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渋井正浩 [エムエス研修企画 代表取締役]

1988年東北大学経済学部卒業、協和銀行(現りそな銀行)入社。主に本社にて法人向け融資審査を担当。2005年りそな銀行を退職し、エムエス研修企画入社。現在は主に企業向けの人事研修コンサルティング、研修コンテンツ作成を中心に活動中。
ホームページ: http://www.womanf.co.jp/
ブログ: http://ameblo.jp/sibuyanohiro/
 


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経営理論は、具体的な例とともに覚えるのがもっとも効果的。本連載では、新聞や経済誌の記事を題材にし、コトラーやポーターなどの著名な経営理論を解説します。経営理論は難しいと思っていた人でも、目から鱗です。また何気なく読んでいた記事が意味するところも、より深くわかるようになります。

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