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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

どんなIoTのサービスが登場してくるか?

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第19回】 2015年11月10日
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IoTが健康管理に役立つ時代は
そう遠くない

 私自身が医学部出身ということもあって、医療機器や高齢化問題の解決にとどまらず、健康管理ツールとしてのIoTの可能性にも注目しています。

 私たち夫婦には今年四歳になる娘がいます。この娘が生まれたとき、ベビーベッドにセンサーを取り付けて、育児に役立てることを思いつきました。当時はまだIoT機器が今ほど揃っていませんから、秋葉原でセンサーを買ってきてパソコンと接続するような、手づくりIoTベビーベッドです。

 この配線だらけのベビーベットの話は、以前紹介しましたが、赤ちゃんが泣いたとき、退屈しているのであれば自動でおもちゃを鳴らしたり、寒いようなら自動で暖房を入れたり、オムツが濡れていたら音やランプで知らせて交換を促したりするような製品やサービスをつくるのは、今では簡単なことです。

 センサーだらけのベビーベッドは、専門知識があって凝り性である私たちならではの試みなので、みなさんもぜひ! とおすすめするわけではありません。でも、IoTが育児や介護、そしてより多くの人たちの健康管理に役立つようになるのは、もうそんなに先のことではないのです。

 実際に、ウエアラブルの端末では、心拍数や消費カロリーなどを測定してフィットネスに役立てることがトレンドになっています。2007年に創業したフィットネス用ウエアラブルを発売するフィットビットは、2015年6月にニューヨーク証券取引所に株式を上場しました。

 すぐ近い将来には、ウエアラブルのセンサーと連携して、適切な運動量や内容を指示してくれるフィットネスマシンだって登場してくるでしょう。

 フィットネスだけではありません。まだ実用的な製品にはなっていませんが、手軽に脳波を測定する機器はすでに登場しています。人間の睡眠には眠りの深さのサイクルがあり、眠りが浅く、脳が活動しているレム睡眠の状態がおよそ90分周期で訪れます。スッキリと快適に目覚めるには、このレム睡眠状態で起きるのがいいのです。

 今でも、寝返りなどの動きを測定してレム睡眠状態を感知してアラームを鳴らすアプリがありますが、脳波の測定が可能になれば、より正確に快適な目覚めが得られるようになります。もちろん、目覚まし時計のようなお手軽な機能だけでなく、脳波を活用してさまざまな医療サービスを開拓することだってできるでしょう。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

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