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トヨタの自工程完結 ウェブ版
【第3回】 2015年11月24日
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佐々木眞一

誰でも決断できるほどの資料があるなら、
本来、上司は必要ない

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トヨタの現役幹部による最新刊『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』から、読みどころを抜粋してお届けしています。今回は、何がオフィスの生産性向上を阻んでいるのか、仕事のムダはなぜなくならないのか、その構造について説明します。

ホワイトカラーは生産性向上の意識が低い

 仕事をしている人は誰しも、間違ったことをして叱られたり、ミスを出したり、やり直しをしたりは、したくないと思います。だから、そういうことはしないぞ、と自分に言い聞かせて、仕事に取り組んでいます。

 また会社や上司も、そういうことはしないように、部下に伝えますし、会社としても、上司としても努力する。ところが、どうしても起きてしまう現実があります。

 要するに私は、こういうことだと思うのです。やってはいけない、起こしてはいけない、といった単なる「心がけ」ではうまくいかないということです。思っているだけでは、結果に結びついていかない。「心がけ」だけではダメなのです。そもそも仕事の進め方に問題がある、ということなのです。

 そこで私が考えたのが、「心がけ」ではなく、もっと科学的に仕事の進め方を捉えることでした。ミスをなくしたり、やり直しをしなくても済むアプローチをするということです。それが、「自工程完結」です。

 工場からスタートし、現場や技術者の間で広まって、この取り組みは大きな成果を生み出しました。品質管理の検査で、どうしても出てきてしまう不具合が、この取り組みで一気になくなった事例もあります。

 そして、生産現場での成果をスタッフ部門にも広められないか、ということで、二〇〇七年一月から、「自工程完結」はトヨタの会社方針となりました。

 あまり知られていないことかもしれませんが、トヨタの工場をはじめとした生産現場では毎年、生産性を向上させる具体的な目標を持っています。

 自動車産業の競争は熾烈です。日本の現場は労務費が世界に比べて高いという現実があります。エネルギーコストも安くない。そんな中で、どうやって生産性を上げていくか。

 トヨタは、現場で「カイゼン」を徹底的に推し進め、省人化や省エネ技術の開発に必死で取り組むなど、生産性向上に挑んできました。

 実は「自工程完結」も、そうした生産性向上の努力の中で生まれてきたものでした。そして、生産性向上目標に、かなり寄与することができたと思っています。

 一方、スタッフ部門、いわゆるホワイトカラーの部門には、生産性向上目標はありません。だからでしょうか、生産性に対する意識がきわめて低いのです。

 何かを決めるにしても、むしろ時間をかけたほうが正しい結論が出るのではないか、といった空気があるのではないか。私はそんな印象すら持ちました。

 上司も、時間をかけて考えたり、仕事をしたほうが、部下を評価することがある。勤務時間中の早い時間に「これはどうでしょうか」と持っていくと、「やり直せ」と言われるのに、残業になって夜に持っていくと、「よく頑張ったな」となったりする。

 それなりにできていても、一回目の提出は絶対にOKしない、という上司もいます。もう一回、やり直し、と突き返す。それが上司の仕事だと思っている人がいる。しかも、どこが悪いのか、も言わないのです。

 要するに、ただ単にもっと頑張らせるため。とにかく三回持ってこないと通させない。ところが、三回目だといい加減でも通してしまったりする。そんな仕事が繰り広げられている印象があったのです。

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佐々木眞一 [トヨタ自動車株式会社 顧問・技監]

1970年3月 北海道大学工学部機械工学科 卒業
1970年4月 トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社
1990年4月 トヨタ モーター マニュファクチャリング UK 株式会社 品質管理部長
1995年1月 トヨタ自動車株式会社 堤工場 品質管理部部長
2001年6月 取締役就任
2003年6月 常務役員就任
2004年6月 トヨタモーターエンジニアリング・マニュファクチャリングヨーロッパ株式会社 取締役社長
2005年6月 専務取締役就任
2005年10月 トヨタモーターヨーロッパ株式会社 取締役社長
2009年6月 取締役副社長就任
2013年6月 相談役・技監就任
2015年11月 著書『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』上梓
2016年7月 顧問・技監就任


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