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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国・内陸部で大人気の日本商品!
鄭州の百貨店で見た“手付かず”のビジネスチャンス

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第3回】 2010年5月27日
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 1億の人口を擁する河南省は、中国の農業省でもある。食品加工業が非常に発達している。その省都(日本流に言えば県庁所在地)である鄭州は、中原を流れる黄河の南岸にあり、地理的に恵まれ、中国の南北交通大動脈の交差点である。南北鉄道幹線の京広線(北京~広州)と東西幹線の隴海(ろうかい)線(連雲港~蘭州)がここで交差し、全国鉄道網の要(かなめ)をなしている。現在、十数本の旅客鉄道線が鄭州を経由して各地にのびている。中国最大の小口貨物中継輸送駅でもある。「アジア最大の鉄道センター」「中国の鉄道網の中心」とその存在を誇っている。

 自動車道でも同じくその存在感は大きい。国道107号線、310号線、北京と広東省の珠海市を結ぶ京珠高速道などの高速道が通る。

 鄭州はその地の利を生かして南北の重要な物流の中心となっており、広東など華南の商品は鄭州を通って河北省などの華北、遼寧省などの東北、さらに陝西、甘粛などからなる西北などへと運ばれる。商品の流通が地元の小売業の発展を刺激し、現在、鄭州の大型ショッピングセンターの数は、浙江省の省都杭州市や西北の最重要都市といわれる西安を超えている。

 その鄭州の百貨店業界でのニュースターといえば、台湾系の「丹尼斯(デンニシ)」だ。1997年に1号店を鄭州でオープンし、現在は河南省内に百貨店8店舗、ショッピングセンター28店舗、専門店12店舗、さらに数十のコンビニ店をもつ一大小売業者となった。

 2009年5月、筆者が視察訪問した時、店内を自ら案内してくれた台湾人の蔡英徳総経理は誇らしげに次のように強調していた。

 「開店してから12年経ったが、SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生した2003年の6%を除いて、平均年間成長率はずっと30%です」。

 しかし、ここまで成長してきた丹尼斯だが、そのビジネス舞台がすべて河南省内に集中しているため省外ではあまり知られていない。日本とのつながりも薄い。日本企業からの売り込みや働きかけを受けたことはあるかと質問すると、台湾から鄭州に来てすでに15年の蔡総経理からは、「たしか11年前に日本企業からの働きかけがあった」と歯切れの悪い答えが戻ってきた。つまり、丹尼斯が成長に成長してきたこの11年間に、日本企業はまったく彼らと接触していないのだ。

 丹尼斯の店内の一角に、食品、調味料、酒類などを扱う輸入品専門の小型スーパーが併設されている。日本からの輸入食品を多く販売する上海久光デパートの地方版のようだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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