ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

上陸したiPadは“Windows 95”以来の黒船か?
日本企業がアップルに勝てない本当の理由

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第127回】 2010年6月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 5月26日、米国の株式市場で世界のIT業界を巡る異変が起きた。アップルの時価総額が、当日の終値ベースで2213億ドル(約19兆9000億円)となり、マイクロソフトの2193億ドル(約19兆7000億円)を抜いたのだ。

 もちろん、これだけで「世界のIT業界の盟主が変わった」と断言することはできない。

 しかし、iPod からiPhone、さらには iPadと立て続けに世界のカルチャーを一変させるような大ヒット商品を生み出すアップル社に、かつてのコンピューターメーカーというイメージはない。すでに、総合情報・通信メーカーの旗手といった風格さえ漂い始めている。

ついにアップルがウィンテルを凌駕?
熾烈な「IT世界大戦」が始まった

 業界専門家のなかには、「ウインテル(ウインドウズ+インテル)の時代は終わった」と指摘する声もある。 

 かつて、PCのソフトで圧倒的な優位性を誇ってきたマイクロソフトの牙城は崩れ、アップルやグーグル、ノキア、さらにはアマゾンなど、特定の分野で強みを持つ有力企業が、高い成長が期待できる携帯関連のIT分野へと殺到した。

 それによって、各社が製品開発能力と企業戦略を激しく戦わせる構図が明らかになっている。まさに“IT世界大戦”の始まりともいえる。その意味では、今回のiPad発売のマグニチュードは大きい。これが開戦の合図になったようだ。

 一方、わが国のIT分野を見ると、先進のフロントランナーから遅れていることは明らかだ。モノ作りの文化に固執するあまり、技術の組合せやデザインなどのソフトウエアに対する意識が低かったのかもしれない。

 問題は、ここからどれだけわが国企業が巻き返しを図ることができるかだ。それができないと、世界経済の中で周回遅れになるだろう。残された時間は少ない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧