戦後70年。沖縄の本土復帰からは43年が経過した。しかし沖縄は現在もなお、深刻な貧困問題を抱える。特に、沖縄の子どもの貧困の「これから」と「いま」には、どのような特徴があるのだろうか?

戦後70年の節目に
全国のケースワーカーが沖縄へ

 2015年11月27日・28日・29日の3日間、沖縄県宜野湾市において、全国公的扶助研究会の主催する「第48回全国公的扶助研究会全国セミナー」が、「戦後70年 今問われる 貧困・格差・不平等 ~沖縄で考える『命・くらし・平和』」というテーマのもとで開催された。参加者は約450人。うち約150人は離島も含む沖縄県からの参加者だったが、約300人は沖縄県以外からの参加者だった。岩手県・北海道など遠方からの参加者の姿も見られた。

「全国公的扶助研究会」は、前身から数えて50年の歴史を持つ研究会で、中心となっているのは福祉事務所で働くケースワーカーたちだが、会員の中には、関連する福祉職・公的扶助の研究者なども多数含まれている。

初日夜に開催された懇親会の最後は、全員で「カチャーシー」となった。次々に参加者が自発的に、あるいは促されて舞台上に上り、三線師範である宜野湾市ケースワーカーの三線に合わせて踊った。舞台上には、漫画家の柏木ハルコ氏・さいきまこ氏の姿もあった

 ちなみに、福祉事務所の中とケースワーカーたちの業務の実像をリアルに描いている柏木ハルコ氏のコミック作品「健康で文化的な最低限度の生活」に対しても、全国公的扶助研究会が協力を行っている。今回の大会にも、柏木ハルコ氏と担当編集者、また子どもの貧困を中心テーマとしたコミック作品「神様の背中~貧困の中の子どもたち」単行本を刊行したばかりの漫画家・さいきまこ氏の2人が参加していた。日本の生活保護・日本の貧困の「今」を知り、「どう解決していくことができるのか?」を公共の果たすべき役割とともに知ろうとするならば、毎年晩秋~初秋に開催されるこの全国セミナーは、絶好の機会なのである。

 この全国セミナーでは、毎年、初日に全般的な問題に関する基調講演などがあり、2日目・3日目は個別具体的な問題(例:就労支援・政策研究・子どもの貧困対策・精神障害者支援……)をテーマとした分科会の数々が開催される。

 今回は、基調講演で語られた沖縄の背負ってきた歴史と現在の沖縄の貧困の関係、2日目の「子どもの貧困」分科会で自らの経験を語った20代女性の話を中心に紹介する。