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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

空腹の子どもたちを救えるか?貧困家庭に広がる欠食問題

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第22回】 2015年9月4日
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食事を充分に摂れない欠食状態の子どもの問題は、少しずつ認知されるようになっている。しかし背景や影響の深刻さについては、今後さらに知られる必要があるだろう。

今回は大阪「CPAOサマーくらぶ」の試みを紹介し、給食のない夏休みの子どもたちの「食」を通じて、子どもの貧困とその解決について考える。

給食のない夏休みに
痩せてしまう欠食の子どもたち

子どもたちの遊びの輪の中にいる、CPAO代表・徳丸ゆき子さん。疲れをにじませがらも、楽しそうだ
Photo by Yoshiko Miwa

 夏休みも終盤の2015年8月30日午後。大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO〈シーパオ〉)の事務所が置かれている借家の一室である6畳の和室で、幼児から小学校高学年までの数人の子どもたちが、代表・徳丸ゆき子さんと楽しそうに遊んでいた。

 この日の遊びのメニューは、「しんぶん遊び10連発」。この日は雨が降っており、外遊びができなかったので、屋内で身体を動かせる遊びとして徳丸さんが考えたものだ。

 子どもたちはまず、古新聞の束を手でちぎって細かくし、和室に分厚く敷き詰めたとのこと。新聞紙の海で「泳ぎ」を満喫した後、小さな袋入りの菓子多数を埋めて「宝探し」。ついで新聞紙を大きなビニール袋に詰め、大きく重たいボールができる……。

 私が訪れたときは、「ボウリング大会」が佳境だった。空のペットボトル5本をボウリングのピンに見立て、新聞紙のボールを投げたり滑らせたりして倒す。「4本いっぺんに倒れた!」「5本全部!」と子どもたちの歓声が上がる。徳丸さんの顔には、隠しようもない疲労の色が滲んでいるけれども、「もう、ヘロヘロです」と苦笑しながらも、膝にむしゃぶりついてくる3歳ほどの女の子の肩を愛おしそうに撫でている。

2015年夏「CPAOサマーくらぶ」の予定表。キャンプにお泊り、さまざまな「部活動」に「しゅくだい」。すべてのプログラムに対して子どもの参加費は無料
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 2015年の夏休み、CPAOは週3回の活動を中心とする「CPAOサマーくらぶ」を開催した。毎日、14時から16時まで、「カメラ部」「スイーツ部」「しゅくだい部」などの活動を行う。子どもたちは写真を撮ったり、スイーツを作ったり、もちろん学校の宿題をしたりもする。そこには、指導できる大人も参加している。「カメラ部」の指導をしているのは、プロのドキュメンタリー映画監督だ。でも、集まって共に過ごすことが中心となっているように見える。

 16時に活動が終了すると、「ごはん会」が始まる。参加している子どもたちも含めて全員で、何を食べたいかを決めて、料理して、食べ、20時に解散する。

 さらに、山奥の古民家で8泊9日のキャンプも行った。予定表には、秘密基地づくりにスイカ割りと、わくわくする活動メニューが並んでいる。事務所で一泊の「お泊まり」もした。翌朝は、みんなで朝ごはんを作って食べた後、子どもたちを中心に全員で、居場所の掃除や草むしりなど、地域のボランティアに参加した。中高生とシングルマザーが好意で寄せられた浴衣を自分で選び、着方を教えてもらい、浴衣姿でお祭りにも行った。

 ……こんな活動が自分の地域にあったら、「楽しそうだから」という理由で参加したくなる大人も、たくさんいそうだ。徳丸さんたちは、なぜ「サマーくらぶ」を発想し、どのように企画したのだろうか?

 「夏休みの子どもたちの食を支えるため、なんです。いつも、ごはんがままならない子どもたちが、たくさんいますから。夏休み中、学校の給食はありません。だから今年は、『CPAOサマーくらぶ』をやろう、とスタッフで考えました」(徳丸さん)

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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