世界最高峰の高尚な“お笑い”も <br />FOMC激動の1年が明らかに笑顔を見せるベン・バーナンキ前FRB議長。重大な金融政策を決めた場においても、そこには笑いがあり、同様の笑顔を見せていたようだ Photo:AP/アフロ

 笑いの数は222回。これは先日公開された、1605ページに及ぶ2010年の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録に記された「Laughter(笑)」の回数である。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者が数えた。

 幾つか抜粋しよう(太字部分、肩書は当時)。サッカーのワールドカップが開催中だった6月23日。

デニス・ロックハート・アトランタ連邦準備銀行総裁「FOMC声明文の発表時間を1時間半遅らせることを提案したい。これはFRB(米連邦準備制度理事会)の名声を高めると考える(笑)」

 発表時間を遅くすれば市場参加者が試合を観戦できるからだが、発言後にロックハート総裁は「議事録は私が冗談を言ったと読めるようにしてほしい」と要望した。

 8月10日の議事録にはこうある。

ジェフリー・ラッカー・リッチモンド連銀総裁「最大手ピーナツ会社によると、カクテルピーナツ(カクテルのつまみに食べる塩をまぶしたピーナツ)の販売は落ちているが、ピーナツバターは伸びている(笑)」

 ベン・バーナンキFRB議長「ピーナツ指標についても、もっと質問させてほしい(笑)」

 ラッカー総裁「カクテルピーナツはハイエンド商品。それ故景気後退期の今は売り上げが落ちる。人々は(安い)ピーナツバターをたくさん食べている」

 これを受けてロックハート総裁が次のように発言する。

 「もし生まれ変わることができるなら、私は(米豚肉生産大手)スミスフィールド・フーズの豚になりたい。命は短いが、ずっとピーナツを食べていられるからだ」

 同社のハムはピーナツで育てられた豚で作られているからだが、この発言は見事にすべったらしく、(笑)は記されていなかった。