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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「量的金融緩和」は日本の発明品!
課題先進国の行く末を、世界が見守っている

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第8回】 2015年1月13日
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海外メディアは「日本から学べること」を
探している

 昨年は総選挙後、ロイターやブルームバーグなど海外メディアからの取材が殺到し、12月だけでも多くのインタビューを受けました。さらに、私がボードメンバーを務めているダボス会議・世界経済フォーラムが1月21日からスイスで開催されますが、この期間中にもインタビューの予定が複数入っています。

 こうした状況からもわかるとおり、今、海外メディアは日本に興味津々なようです。では、いったい何を知りたがっているのか。それは「アベノミクスの施策や成果、課題について自国が学べることは何か」という点です。

 たとえば、ブルームバーグではアベノミクス後、日本のアントレプレナーシップやイノベーションがどう変わりつつあるのか、どんな課題を抱えているのかをテーマに番組を制作しています。また、BBCでも「アベノミクスによって“女性の活用”がどう変わってきたか」を特集しています。

 一方、ドイツやイタリア、フランス、スペインなど欧州各国のテレビ局は、デフレから脱却する方法や国の借金の抱え方など、日本が直面している課題について強い関心を持っています。というのも、欧州各国も日本と同じように国の借金が増えつつある一方、デフレの長期化も予想されているからです。

 最近、「ジャパナイゼーション(Japanisation=日本化)」というワードがよく聞かれますが、これは、欧州各国が日本の後を追って、政治、経済が機能不全に陥りつつある状況を指しています。

 海外メディアは日本を“反面教師”にしたがっているということかもしれませんが、見方を変えれば、長期にわたるデフレや経済不振、少子高齢化、格差社会の到来といった「課題先進国」の日本に対し、その答えを世界に先立ち見出すことを期待しているのではないでしょうか。

日銀の量的金融緩和策は
本当にお手本になる!?

 というのも、皆さん、忘れているかもしれませんが、デフレ脱却を目指す「量的金融緩和(QE:Quantitative Easing)」は日本発のイノベーションです。

 振り返れば、2001年に日銀が初めて「量的金融緩和」策を発表したときは、ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授をはじめ、海外から大きな批判を浴びました。しかしその後、米国はQE1~QE3を実施、欧州も昨年からQEを開始しています。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

ご意見は、ツイッター@whsaitoまで。

 


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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