海外メディアは「日本から学べること」を
探している

 昨年は総選挙後、ロイターやブルームバーグなど海外メディアからの取材が殺到し、12月だけでも多くのインタビューを受けました。さらに、私がボードメンバーを務めているダボス会議・世界経済フォーラムが1月21日からスイスで開催されますが、この期間中にもインタビューの予定が複数入っています。

 こうした状況からもわかるとおり、今、海外メディアは日本に興味津々なようです。では、いったい何を知りたがっているのか。それは「アベノミクスの施策や成果、課題について自国が学べることは何か」という点です。

 たとえば、ブルームバーグではアベノミクス後、日本のアントレプレナーシップやイノベーションがどう変わりつつあるのか、どんな課題を抱えているのかをテーマに番組を制作しています。また、BBCでも「アベノミクスによって“女性の活用”がどう変わってきたか」を特集しています。

 一方、ドイツやイタリア、フランス、スペインなど欧州各国のテレビ局は、デフレから脱却する方法や国の借金の抱え方など、日本が直面している課題について強い関心を持っています。というのも、欧州各国も日本と同じように国の借金が増えつつある一方、デフレの長期化も予想されているからです。

 最近、「ジャパナイゼーション(Japanisation=日本化)」というワードがよく聞かれますが、これは、欧州各国が日本の後を追って、政治、経済が機能不全に陥りつつある状況を指しています。

 海外メディアは日本を“反面教師”にしたがっているということかもしれませんが、見方を変えれば、長期にわたるデフレや経済不振、少子高齢化、格差社会の到来といった「課題先進国」の日本に対し、その答えを世界に先立ち見出すことを期待しているのではないでしょうか。

日銀の量的金融緩和策は
本当にお手本になる!?

 というのも、皆さん、忘れているかもしれませんが、デフレ脱却を目指す「量的金融緩和(QE:Quantitative Easing)」は日本発のイノベーションです。

 振り返れば、2001年に日銀が初めて「量的金融緩和」策を発表したときは、ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授をはじめ、海外から大きな批判を浴びました。しかしその後、米国はQE1~QE3を実施、欧州も昨年からQEを開始しています。