小売り業界にとって個人消費の成長が期待できる新興国は、1位中国、2位クウェート、3位インド、4位サウジアラビア、5位ブラジル、という調査結果をATカーニーが発表した。

 このランキングは、新興国の経済、政治リスク、市場の魅力、市場の飽和度など25の要因を考慮している。中国は昨年の3位から1位に上昇した。政府の経済政策が評価され、2級都市の成長が見込めるという。

 3位のインドは昨年は1位だった。外資系チェーン店がいっせいに参入して競争が激化し、店舗用不動産価格が上昇したことなどがマイナス要因になった。ロシアは昨年の2位から今年は10位に落ちた。リセッションの悪影響や政治リスクが嫌気された。

 一方、クウェートは、昨年のランク外から今年は2位に入った。上位には他の中東勢もいる。北アフリカ勢も多い。上位21ヵ国のうち8ヵ国が中東と北アフリカで占められている。

 欧米の小売り業界にとってイスラム圏は成長が期待できる“魅惑の地”になっている(参考:ATカーニー資料、「インディペンデント」紙6月22日付)。

 ロンドンのファッション小売り業界は、昨年よりも1週間早く、6月2週目の週末から夏物バーゲンを開始した。6月22日発表の英政府の緊縮予算案が消費者のマインドを冷やすのではないかと懸念されたことが1つの理由だ。さらにイスラム圏のラマダーン(断食の月)も考慮された。