専従の一人親方が
現場を担当する

ビジネスモデルと経営に優れ、ダイヤモンド経営者倶楽部の優秀企業賞(2014年度)も受賞した

 大規模修繕を行う業者のほとんどは、新築工事と同じように孫請けに至る下請け業者を多数利用する。同じ修繕費でも下請けが増えるほど中間マージンが多くなり、実際に現場で作業を行う職人に対する待遇が悪くなる。そのため外装専科では、同社の仕事だけを請け負う“一人親方”が100人ほど所属、極力下請け業者を使わない方針を取っている。

「実際に作業をする職人が報酬に対する不平不満を持っていると、心のこもった工事をするのは難しいからです。それが工事の品質に直結するのです」

旧態依然とした業界の慣習に疑問を投げ掛け、適正な価格の工事を説明する『まちがいだらけの大規模修繕』(ダイヤモンド社)。横行する高額見積もりにモノ申す姿勢は、マンション管理組合の間で話題を呼んでいる。

 本来、大規模修繕とは、本当に必要な工事やマンションの資産価値を高める工事を、適正な価格で行うべきもの。工事を受注する業者のためにあるものではないのだ。「そもそも快適で資産価値の高いマンションを維持するためには、定期的に修繕をして、ほころびを小さいうちに繕い、傷みがひどくなるのを予防し、外観の価値を保つことが非常に効果的なのです。大規模修繕工事は、マンションの維持には必要ですが、必ずしも10年ごとに行うべきというものではないのです」と主張する伊藤社長。

 マンションの大規模修繕とは何か? その意味を根底から問う時代になっている。