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海から見た世界経済
【第3回】 2016年3月18日
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山田吉彦

世界一の漁業国家、中国の暗躍とは?
違法操業、乱獲の実態に迫る

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中国は世界一の漁業国家です。しかしその裏には、違法操業や乱獲の問題があり、今後の動向から目が離せません。「海と経済」の第一人者であり、新刊『完全図解 海から見た世界経済』の著者である山田氏に聞いてみました。

中国はどんな魚を獲っているのか?

世界の漁業生産量第1位は中国であり、全世界の約18%を占めています(2013年)。中国の排他的経済水域の面積は、同国の主張では300万平方キロメートル。しかし、その中には近隣諸国と管轄権の主張が重なる海域も多く、国際法に基づき、中国が実際に管轄権の行使ができる海域は、約100万平方キロメートルで我が国よりも狭いのが実状です。

 中国の漁業の特徴は、FAOの統計では「その他の水産物」に分類される魚種の生産量が約705万トンもあり、漁船漁業生産量の40%以上となっています。他の国が漁を行わないような種類に目をつけ、大量に捕獲している実態が見えてきます。また、「種類が特定されていない海産魚類」の生産量が288万トンと全体の17%もあり、何を獲っているのかわからないというのが実態です。

世界一の漁業国家、中国。その暗躍に迫ります。

 中国には800万人の漁民がいるといわれていますが、実際には1200万人は超えているだろうと推測されます。中国の水産業の大きな問題の1つに「三無漁船」があります。三無漁船とは、法令上漁船が保持していなければならない「漁業許可証」「漁船登録証」「漁船検査証」を持たない非合法の漁船のことです。

違法操業、
乱獲を行う中国漁船

 2014年の中国農業部の発表によると、乱獲が進み、水産資源の枯渇が深刻な事態となっている浙江省において、法律を順守している漁船はおよそ2万2000隻。一方で、約1万2000隻の三無漁船も操業しています。日本は、近隣海域において、中国漁船による乱獲が行われていることを黙認しています。

 2000年、日本と中国との間には、(新)日中漁業協定が結ばれ、東シナ海上に日中両国が互いに自国の漁船を管理し、漁業を行う「暫定措置水域」を設定しました。2015年期の同水域内での漁獲量上限目標値は、中国は約166万トン、日本は約11万トンと15倍もの開きがあります。

 そして、この海域の漁船の数も中国は1万7500隻、日本は800隻と比較にならないほど中国の漁船が多いのです。しかも、この漁船以外にも1万隻を超える漁船が東シナ海で違法操業を行っていると推定されています。

 2011年、東シナ海に「虎網漁船」という中国漁船が登場しました。日本では禁止されている光度の強い集魚灯を用いて魚を集め、長さ1キロメートル以上の大きなまき網で魚を獲り尽くしてしまう漁法です。この漁船が東シナ海だけでも1000隻以上操業しているといわれています。しかし、中国当局は実態を把握できていません。

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海洋学部教授であり、経済学の博士号を持っている山田吉彦氏が解説します。
 

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