これからの経済は「魚」で動く。そう言い切れるような驚きのデータを、世界の最新トレンドとともにご紹介します。人口増加による飢餓。地球温暖化による農作物の不作。人類の目は「海」へと向かっているのです。「海と経済」の第一人者であり、新刊『完全図解 海から見た世界経済』の著者である山田氏に聞いてみました。
人口増加! 世界中で飢餓!
食べ物は大丈夫?
現在、地球上には約73億人が暮らしています。1961年には、30億人ほどでしたので、およそ50年間で2倍以上に増えています。
今後も人口はますます増え続け、2050年までには96億人に達すると予測されています。人々が生きていくためには、「食べ物」が不可欠であり、急速に増加した人々が生命を維持するために食糧の増産が必要です。しかし、近年深刻化している地球温暖化や砂漠化は、農作物の生産にとってマイナス要因となっています。
飢饉に陥った一部の地域では、すでに深刻な食糧不足に陥り、現在、約8億人が慢性的な飢餓状態にあると言われています。全人類が海に目を向けるまた、これ以上の農地の開発は地球上の緑を減少させ、地球温暖化を進展させることにつながりかねません。そこで、注目されているのが水産資源です。
古来、人々は海に出て生きる糧を得てきました。我が国は、その典型です。国内のいたるところから貝塚が発見され、水産業が生活の根幹であったことがわかります。
人々は、再び海の恵みに生活の糧の根幹を頼ろうとしています。世界中の人々が、一斉に魚を獲り出したのです。
FAO(国連食糧農業機関)の統計では、世界の漁業および養殖業の生産量は、1億9109万トン(2013年)です。この数年、毎年5%ほどの増加を続けており、50年前に比べると5倍にも増えました。
中でも、養殖生産量は急速に拡大しています。2012年から13年にかけての1年間では、前年比8%ほど増加し9720万トンとなり、漁船漁業生産高9386万トンを上回りました。このように水産業の主流は、育てて獲る、養殖に移行しています。
これは、世界の人々が、魚の取り過ぎに危機感を覚え、「このままでは魚がいなくなってしまうかもしれない」と危惧していることの現れです。