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遺言書、任意後見契約、 家族間での民事信託で 将来の相続に備える

森大輔法律事務所/森 大輔 弁護士

遺言書、任意後見契約、
家族間での民事信託で
将来の相続に備える

著者・コラム紹介
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 銀座・歌舞伎座の真向かい、東銀座駅に直結するビルに事務所を構える森大輔法律事務所。企業のリーガルサービスを中心に税務訴訟まで取り扱う森大輔弁護士が「オーナー経営者の相続問題に、力を入れていこう」と決意したのは、ある事件がきっかけだった。

2人の相続人と5通の
遺言書や死因贈与契約書

森 大輔 弁護士
2008年司法試験合格。伊礼綜合法律事務所の勤務を経て、森大輔法律事務所を設立。企業間の紛争を中心とした業務を行なう一方、経営者やその親族から相続の相談を多く受ける。紛争予防のための適正な事業・資産の承継を取り扱う。地方出張相談も実施中

――親族経営の会社の社長が亡くなり、個人名義の不動産が遺された。評価額およそ7億円。相続人は2人の息子。そこへ、「公正証書遺言」が2通、「自筆証書遺言」が1通、「死因贈与契約書」が2通と計5通もの書面が出てきた。

 書式が整っていて内容に法的な問題がなければ、形式にかかわらず日付けの最も新しいものが効力をもつ。しかし、亡くなった当人が認知症を患っていたことが問題だった。遺言書や死因贈与契約書の効力が判断できず、兄弟は自分に有利な内容の書面こそ有効だと主張して譲らない。兄弟による骨肉の争いは、調停でも決着がつかず、裁判へ持ち込まれた。森弁護士はこの裁判で一方の代理人を務め、深く考えた。

 「争う親族が疲労困憊していく様子を見て、相続というのは大変な問題であることに気づきました。同時に、事前に対策さえとっておけば、こうした事態は未然に防げるはずだと感じたのです」

 相続を巡るトラブルが泥沼化するのは、遺産の分割よりも、どの遺族も「故人の本当の遺志はこうだ」と主張して曲げないためだという。自分の事業や資産を、受け継いでほしい相手にきちんと譲り渡すには、意思を形にして示しておくことが欠かせないのだ。

家族に資産を委ねる
仕組みとは

 そのために森弁護士は、次の3点セットの準備を推奨している。

(1)遺言書
「個人で事業をしている方、株式や不動産をもっている方なら特に、今すぐ遺言書を作るべきです。偽造や書き換えを疑われて無効になるケースが現実にたくさんありますので、公正証書遺言を作っておくのがいいでしょう」

(2)任意後見契約
「死亡時を想定した遺言書だけでは、たとえば認知症になって判断能力が落ちたときに、誰が財産管理を行なうのかという問題が生じます。最も多いケースは、成年後見人を選任することです。ただし、成年後見人は弁護士や司法書士が就任しますが、あくまでも第三者ですので、推定相続人である親族や事業の後継者と財産管理で意見が衝突し、トラブルになるケースも報告されています。そこで、私が勧めているのは、任意後見契約です。判断能力がしっかりしている時に自らが任意後見人を選び、財産管理や身上介護の方法について話し合っておくのです。任意後見人は、本人の意図をしっかりと把握していますので、親族や事業の後継者とのトラブルを回避する効果が期待できます」

 ただし任意後見制度は、資産承継のための制度ではないので限界はある。そこで、3つめの「家族間での民事信託」が重要になる。

(3)家族間での民事信託
「信託法の改正により家族間での民事信託が可能になりました。家族との間で民事信託契約を締結し、不動産や株式の所有権を信託財産とし、信託目的に応じて、受託者及び受益者を家族や自分に設定できます。信託目的は、資産や事業の承継から親族の介護などの福祉までさまざまに設定できます」

 信託財産となれば、本人固有の財産ではなくなるため、成年後見人は信託財産の管理まではできず、先のような不都合な事態は回避される。また、信託財産は相続財産に含まれない。オーナー経営者なら、所有する株式を信託にしておけば円滑な事業承継が可能となる。

 「不動産を信託財産とすれば登記がされますから、後継者との間で信託契約を締結し登記まで備えていれば、先の事例の兄弟もあれほど揉めることはなかったでしょう」

 ただし、家族間での民事信託も万全ではない。遺留分侵害への対策は必要となる。

森大輔法律事務所のHPはこちら

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