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金融市場異論百出

「欧州叩き」はひとまず幕引き
中長期は南欧の財政再建次第

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年8月5日
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 「ストレステストの結果を、市場は用心しながら歓迎している」。英「ガーディアン」紙(7月27日付)は欧州の銀行に対して金融当局が実施したストレステストについて、そう報じた。市場の様子を的確に描写していると思われる。欧州金融システムに対する市場の疑念が今回のテストで完全に払拭されたわけではないが、春以降激しさを増した「欧州叩き」は、ひとまず幕引きとなった感がある。

 幸運なことに、テスト結果発表の前に、欧州では予想を上回る良好な経済指標が相次いで表れた。二番底懸念を和らげる「優しいそよ風」が吹いているあいだは、ユーロ危機の再燃は抑えられそうだ。

 先日、温家宝中国首相がメルケル独首相に、「ユーロは以前も今も今後も中国の外貨準備の投資先だ」と“支援”を表明したことも効いている。また、米政府支援住宅金融会社(フレディマックとファニーメイ)の巨大な不良債権に市場の関心が再び向かいつつあることも、欧州問題の深刻さの印象を和らげている(どちらがよりひどいかという相対的なものだが)。

 欧州各国の閣僚や中央銀行幹部は、結果発表前に楽観的な見通しを市場にさんざん吹き込んでいた。織り込みずみだったため、発表後の市場の反応は限定的だが、ニューヨーク市場ではスペインの複数の大手銀行が期間3ヵ月のドルの借り入れを一部再開できるようになった(金利はまだ高いが)。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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