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Think Locallyなイノベーションのなかの日本

シリコンバレーで存在感を放つ台湾・中国のスタートアップ囲い込み戦略

鈴木智之 [スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員、三菱総合研究所研究員]
【第3回】 2016年4月29日
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イノベーションを生み出し育てるエコシステム。シリコンバレーで成功を収めるには、そのコミュニティーの中に入り込むことが重要だ。コミュニティーに入りこむと同時に必要なヒト・モノ・カネを得られる仕組みに「アクセラレータ」がある。この仕組みを利用し、台湾・中国系のEMSメーカー(電子機器製造受託サービス)は優秀なスタートアップを自国のコミュニティーに囲い込んでいる。海外に出る日本企業に求められる、もうひとつのチャレンジとは。

カフェで行われる、
スタートアップ企業の気軽なヘッドハント

 スタンフォード大学のカフェでの話。とある起業家と一緒にランチをしていた。昨年会社を立ち上げたばかりで、数千万円の資金調達を終えたところなのだという。そこへたまたま通りがかった友人もランチに同席することになった。

 初対面同士、お互いの話でひとしきり盛り上がった後、友人がエンジニアだとわかった起業家の彼は、「コーヒーのおかわりいりますか?」くらいの気軽さでこう言った。「うちの会社に来ませんか。年収1500万円位なら出せます。今ならストック(株式)も付けますよ」。

 この会話、日本ではあまりなじみのないものだと思うが、皆さんはどう感じただろうか。

気軽なヘッドハントが行われるスタンフォード大学のカフェ

 シリコンバレーでは、起業家にかぎらず多くの人が成功を目指して世界中から集まってくる。その理由は、ビジネスを生み出し成長させるエコシステム(生態系)が、ここにあるからだ。

 これは、企業や大学を媒介としたスタートアップ企業の人材輩出の仕組み、ベンチャーキャピタルやエンジェルなどの投資家による資金供給の仕組み、両者が出会うネットワーキングの土壌などから構成される、イノベーションを繰り返し生み出す枠組みである。

 エコシステムはチャレンジする人に機会と資金を提供する一方で、桁外れの成長と成功に向けた努力を強いる。冒頭のセリフの背景には、このエコシステムの存在がある。

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鈴木智之 [スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員、三菱総合研究所研究員]

スタンフォード大学US-Asia Technology Management Center客員研究員。三菱総合研究所研究員。Kizuna Across Cultures(米国NPO)日本ディレクター。慶応義塾大学理工学研究科修士。新規事業開発/リスクマネジメントのコンサルタントとして、製造、金融、商社、インフラなど幅広い企業を支援。現在は同大学にてスタートアップの成長プロセス、医療・ヘルスケア領域のイノベーションを研究。

 


Think Locallyなイノベーションのなかの日本

シリコンバレーをはじめとする海外からみた日本のイノベーションの課題と方策について、スタンフォード大学での研究活動などを踏まえ論じる。Think Locally, Act Globallyのイノベーションにおいて、外国のローカルのなかで日本はどのような存在なのか。イノベーションを育む多様性と融合のあり方を考察する。

「Think Locallyなイノベーションのなかの日本」

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