夏休みが終わると、大学3年生の就職活動が始動します。就職情報会社の就職サイトがオープンする10月から来春まで、長くて短い半年の「内定獲得レース」が始まるわけです。多くの学生が、この時期に初めて「産業企業」や「世の中」のこと、さらには「自分のキャリアビジョン」について考えることになります。半年間にできることには限りがありますから、情報不足、理解不足に起因するミスマッチがしばしば発生し、早期離職へとつながりがちです。今回は、大学と企業との不連続な関係について考えてみます。
学生は驚くほど
産業界のことを知らない
暑すぎる夏がまだ去らず尾を引くなか、就職が決まらない10万人もの大学4年生がラストチャンスに賭けています。そうこうしているうちに大学3年生が再来年4月の就職に向けて活動を開始します。
この時期、大学では「就職セミナー」が開催され、業界研究や、面接の訓練など、大学3年生はにわか勉強を始めます。私も毎年、いくつかの大学の依頼で、就職セミナーの講師を務めますが、いつも感じるのは、「学生は産業界のことをあまりにも知らない」ということです。
考えてみれば、これは今に始まったことではないのでしょう。私自身も大学生のころは産業・企業についてはまったく知らなかったことを告白しなければなりません(文学部だったので、もともと関心がなかったという言い訳もしておきます)。
しかしながら新卒採用において企業の量的確保への意欲が弱まり、多くが「厳選採用」を標榜する以上、大学生としてもそれに対応するべく備えをしなければなりません。選択肢を広く持つために、産業構造についてざっと理解しておく必要があるでしょうし、そのなかで何を選ぶのか、自分の指向と志望もハッキリさせる必要があります。
でも、現状はなかなか厳しい。