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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

世界的に広がる史上最低金利の構造要因とは何か

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第210回】 2016年6月22日
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金利水没は未曾有の状況

 マイナス金利が止まらず、世界的に金利が未曾有の水準になっている。下記図表1は、「世界の金利の『水没』マップ」だが、最上段のスイスは20年まで水没した。日本は15年までが水没し、ドイツの10年金利は初のマイナスと史上最低金利に低下したことが話題になっている。欧州は、フランスも7年まで水没した。かつて、欧州債務危機のころは「PIIGS」の重要な一角を占めたイタリア・スペインも2年まで水没する有様だ。

 こうした状況の背景として、欧州の不安、すなわち、6月23日の英国の国民投票や6月26日のスペインの総選挙等での混乱の可能性も指摘される。また、水没している地域は欧州や日本のように、マイナス金利が用いられ、通貨戦争として自国通貨安を志向する政策がとられてきた国々であるとの特徴もある。

◆図表1:世界の金利の「水没」マップ(2016年6月20日)

 ただし、もっと底流を流れる状況にも目を向ける必要がある。それは、世界全体のバランスシート調整による構造要因、すなわち「日本化現象」、「長期停滞論(secular stagnation)」、マイナスの自然利子率、「新たな凡庸(new mediocre)」、等の表現で示される事態である。従って、世界に波及する低金利環境は単に、マイナス金利政策を採る欧州や日本に限定されたものではない。

 さらに、今日の欧州の不安も一つの要素に過ぎない。世界のけん引役が期待される米国自体も長期停滞の結果、自然利子率のマイナスにあることに注目する必要がある。また、かつて世界経済の救世主であった中国もバランスシート調整にあり、世界の牽引車不在の状況等、様々な構造要因が重なった、根が深い現象と考えることができる。

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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


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