採用担当者への評価に
経営の意志が表れる

 「かつては、採用と育成がはっきりと分断されていました。最近は、この二つをつないで考えている企業が増えているように見えます。インターンは採用活動の中に育成の要素が入っていると考えることができます」と服部准教授は語る。例えば、採用担当者が新卒社員の定着まで数年間にわたってフォローする体制があれば、担当者は自社で活躍する人材像についてより深く考えることができるはずだ。

 「新入社員の3年目のパフォーマンスを、採用担当者の人事評価に反映するといった取り組みは、一部の先進企業で始まっています。しかし、担当者がローテーション人事ですぐにいなくなるような企業では実現困難でしょう」

 採用担当者をどのように評価するかは、企業にとって大きなテーマだ(図)。「有名大学卒を何人採用した」ということが高評価につながれば、担当者の大学名への意識は強化される。言うまでもなく、評価指標の設定は経営の意志の表れである。

日本企業150社の採用担当者に、自分がどのような基準で評価されているかということを尋ねたもの。スコアが5に近いほど、自分の評価基準としてその項目が重要であるということ、1に近いほど、それが重要でないことを表す。
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 人事部門にとって、最近は海外人材の採用も重要度を増している。海外の人材マーケットでは日本企業の人気は低く、至るところで「採り負け」が起きているといわれる。

 「新卒一括採用という慣行が続いている以上、国内ではそれを踏まえた採用手法を取らざるを得ません。その枠の中で、改善や工夫をしていく必要があります。一方、海外では海外のローカル環境に適した手法を考えるほかありません。例えば、日本では就活ナビサイトで大量に募集しつつ、海外ではピンポイントで優秀な学生にアプローチするという具合です」と服部准教授。商品を現地の顧客に合わせるように、採用もローカル市場に合わせるということ。企業の採用チームに求められる専門知識のレベルは、ますます高度化しつつあるようだ。