ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
7つの知性を磨く田坂塾

ネット時代のビジネスマンこそヘーゲルを学ぶべき理由

田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]
【第3回】 2016年6月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

未来を予見する「弁証法」の法則

 拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べたが、この「7つの知性」を磨く場として「田坂塾」を開塾したところ、現在、3000名を超える経営者やマネジャー、リーダーが集まり、様々なテーマでの学びを深めている。

 この連続講義「7つの知性を磨く田坂塾」では、この「田坂塾」での学びの一端を公開しながら、毎回、7つの分野から一つのテーマを取り上げ、講義を行っていく。

 この第3回では、「思想」に焦点を当て、拙著、『使える弁証法』(東洋経済新報社)や『未来を予見する「5つの法則」』(光文社)において述べた、次のテーマを取り上げ、論じよう。

 なぜ、ネット時代のビジネスパーソンは、ヘーゲルを学ぶべきなのか?

 ヘーゲルとは、ドイツ観念論哲学の泰斗、ゲオルク・ヘーゲルのこと。『精神現象学』や『法哲学』などの著作を遺した哲学者である。

 しかし、こう述べると、法学部出身の読者は、「ヘーゲルか、あの難解な哲学を読んでも、現実の役には立たない…」と思われるだろう。

 その通り、読者が、ヘーゲルの著作を繙いても、同様の感想を抱くだけだろう。

 しかし、ヘーゲルの哲学の根幹において語られている一つの法則を理解することは、決して難しくない。今回の講義で述べるのは、その法則である。実は、この一つの法則を理解するだけで、不思議なほど、世の中の変化の方向が見えるようになり、我々の社会の未来が見えるようになる。

 では、その一つの法則とは何か?

弁証法(dialectic)である。

 特に、弁証法の法則の中でも、「事物の螺旋的発展の法則」。この法則を学ぶだけで、未来が見えるようになる。

 では、「事物の螺旋的発展の法則」とは、どのような法則か?

 それは、「物事の変化や発展、進歩や進化は、あたかも螺旋階段を登るように起こる」という法則のこと。

 分かりやすく述べよう。

 いま、「螺旋階段」を登っていく人物を想像してみよう。この人物を横から見ていると、上に登っていく。すなわち、「進歩・発展」していくように見える。しかし、この人物を上から見ていると、螺旋階段の中心を一周回って、元の位置に戻ってくるように見える。すなわち、「復古・復活」が起こっているように見える。けれども、これは螺旋階段であるため、必ず、一段、高い位置に登っている。すなわち、「新たな価値」を獲得している。

 これが、「事物の螺旋的発展の法則」である。言葉を換えれば、世の中の変化や発展、進歩や進化においては、古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活してくる」という法則である。

 こう述べると、読者から、「その法則の事例は、どこにあるのか?」との疑問の声が挙がるだろう。

 実は、いま、世の中を見渡すと、この「螺旋的発展の法則」の事例が溢れている。特に、ネット革命の世界は、この法則の事例の宝庫と言ってよい。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授]

1951年生まれ。74年、東京大学卒業、81年、同大学院修了。工学博士(原子力工学)。87年、米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員。同時に、米国パシフィックノースウェスト国立研究所客員研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。戦略取締役を務め、現在、同研究所フェロー。2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。同年、シンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。2003年、社会起業家フォーラムを設立。代表に就任。2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーに就任。2010年、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。2011年、東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。原発事故対策、原子力行政改革、エネルギー政策転換に取り組む。2012年、民主主義の進化をめざすデモクラシー2.0イニシアティブの運動を開始。代表発起人を務める。2013年、全国から3000名を超える経営者やリーダーが集まる場、「田坂塾」を開塾。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」への成長をめざし、塾生とともに研鑽を続けている。著書は、知のパラダイム論、未来予測論、地球環境論、複雑系社会論、情報革命論、知識社会論、民主主義進化論、資本主義進化論、産業政策論、経営戦略論、マネジメント論、リーダーシップ論、戦略思考論、プロフェッショナル進化論、社会起業家論、社会的企業論、仕事論、人生論、詩的エッセイ、詩的寓話など、様々な分野において国内外で80冊余。(所感送付先:tasaka@hiroshitasaka.jp
◇主な著書 『知性を磨く - 「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社) 2014
『人は、誰もが「多重人格」 - 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社)2015
『人間を磨く - 人間関係が好転する「こころの技法」』(光文社)2016

 


7つの知性を磨く田坂塾

多くの問題が山積する21世紀、目の前の現実を変革するために、我々は、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つのレベルの知性」を、垂直統合して身につけ、磨いていかなければならない。知性を磨き、使命を知り、悔いのない人生を生きるために、いま、我々は何を為すべきか。現代の知の巨人が語る。

「7つの知性を磨く田坂塾」

⇒バックナンバー一覧