竹中平蔵教授が「『親の教科書』といえる稀有な良書」と評し、『「学力」の経済学』著者、中室牧子氏が「どうやって子どもをやる気にさせるのか、その明快な答えがここにある」と絶賛。また、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「リーダーシップ育成の教科書として、目下最良の一冊」と称する『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』
発売わずか3ヵ月で15万部を突破し、子育てのみならず、ビジネスやあらゆる分野のリーダーシップを伸ばすビジネス書として、異例のベストセラーとなっている本書の内容から「本当にためになる」育て方の秘密を公開する。
 

読書で知見を広め、学習習慣を身につけさせる──読書はすべての学力の基礎になる

【家庭教育アンケート】

●読書を勧めてくれた親に感謝
 自分が両親に非常に感謝している点は、幼少期から熱心に読書を勧めて、小学生のころはほぼ毎日図書館からお勧めの本を借りてきてくれたなど、知見を広め、深める契機をふんだんに与えてくれたことです。(東京大学法学部Kさん)
●本だけはふんだんに買ってくれた
 読書を通じて好奇心の探求を続けられる環境にあったことが、今の私をつくったと考えています。両親は幼少の私に、興味を持った百科事典や大人用の鉄道雑誌や歴史雑誌などを惜しみなく与えてくれました。自分が好奇心旺盛な性格に育ったのは、そのおかげだと考えています。(一橋大学大学院商学研究科Sさん)
●本を読み聞かせてくれたことが、文章読解力の基礎に
 両親の教育方針で、私によい影響をもたらしたことの一番は、幼少期に数多くの本を読み聞かせてくれたことだと考えます。これにより、文章読解力の基礎が形成され、視野も広がり、主体的に物事を考えることができるようになったと思います。(東京外国語大学外国語学部Fさん)

 

本がさまざまな世界との出会いを生む──「どれだけ活字に触れたか」が一生を左右する

 ここまで紹介してきました学生さんのアンケートの中で、最も多くの学生さんに共通していたのが、幼少時に親から本の読み聞かせをしてもらい、たくさんの本を与えられて読書習慣が身についたというものです。

読書で視野が広がり、好奇心が強まり、親から言われなくとも勉強するのが当たり前になったという学生さんが、大変多かったのです。

 アンケートでは、家での教育方針について「自由放任だった」という学生さんが多かったですが、子どものほうでは自由と感じていても、そう思わせながらも親は何か周到な誘導をしていたにちがいありません。

親が自ら勉強する姿を見せるなどで自分自身を見本にさせたなど、いろいろなことが考えられますが、一番多いのは、この「読書習慣」を子どもにつけさせたことではないかと思います。

 一流大学に合格しているにもかかわらず、親に勉強せよと言われたことがないという学生さんのほとんどが、「幼児期の親からの絵本の読み聞かせで本好きに育った」「本はふんだんに買ってもらえた」「親が切れ目なく図書館から本を借りてきてくれた」「いつも家に本がいっぱいあって、読書する環境があった」などと回答してくれています。

読書で好奇心や読解力、集中力が養われたことから、自主的に勉強するようになるという自然の流れがあったことがうかがえます。

 読書の効用については至るところで皆さんも聞いてこられたと思いますが、私は読書家の友から、「魅力的な人物とたくさん出会えたことだ」と聞かされたとき、素敵な感想だと感心しました。

「実生活ではなかなか出会えない素晴らしい人と、家に居ながらにして時代や空間を超えて、本を通して出会えた」というのです。この友人は超がつく読書家です。幼少時より、お兄様方の本が本棚にふんだんにある環境で、それらを片っ端から読んだそうです。彼は「活字は苦にならない」が口癖で、高校時代には小説を書きながら、志望校の最難関大学に合格しました。

 このたびのアンケートやインタビューに接して、今さらですが、反省点だらけの私の育児の中でもとりわけ後悔しているのは、もっと親子で読書をすればよかったということです。家事を一生懸命やりすぎて忙しかったのですが、毎日1時間くらい親子で読書する時間を捻出すべきだったと思っています。

「それをしなさい、これはいけない」と命令口調でたくさん子どもには話しましたが、子どもの年齢と関心に合わせて良書を選び、一緒に感動する時間をつくったほうがどれだけ子どもたちにはよかったかという後悔は本当に大きいです。

「知見を広め、教養を深める機会がふんだんに与えられる」

「いろいろな場面での正義や悪について居ながらにして学べる」

「人生の師となる人、模範となる人と時代を超えて巡り会える」

「人生を主体的に生きるきっかけが得られる」

 などなど、子どもの想像力を養い、視野を広げるうえで、読書ほどの「よい友人」は他にいないと言えるでしょう。

(※この原稿は書籍『一流の育て方』から抜粋して掲載しています)