30年ぶりの大学入試改革で中学・高校の学びも大きく変わる

2020年、大学入試が大きく変わる。共通1次試験から大学入試センター試験に代わって以来、30年ぶりの大改革だ。それに合わせて、中学・高校の学びの形も大きく変わろうとしている。

 13年10月に出された政府の「教育再生実行会議」の提言を源流とする大学入試改革の議論は、文部科学省の高大接続システム改革会議が今年3月25日にまとめた「最終報告」でその大枠が固まった。

 世間で最も注目が高いのは、大学入試センター試験に代わって20年から導入される新共通テスト、「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)だ。

 そもそも入試改革の必要性が論じられるようになった背景には、知識詰め込み型の学習や偏差値重視の入学者選抜では、社会の変化やグローバル化に対応できる人材は育たないという危機感があった。

 「知識・技能」の蓄積に加えて、それを応用する「思考力・判断力・表現力」、そして、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(「主体性・多様性・協働性」)、この3つを「学力の3要素」と位置づけ、それをバランスよく身につけさせることで、時代の変化に適応できる人材を社会に送りだそうというのが、今回の教育改革の狙いである。

 改革を実効あらしめるためには、入学者選抜のあり方も、学力の3要素を多面的・総合的に評価するものでなければならない。そこで、新しい共通テストでは、知識・技能を評価するマークシート式に加えて、思考力・判断力・表現力を評価する記述式問題を取り入れる。

 記述式は当面、国語と数学のみで導入され、1点ごとの点数刻みではなく、A、B、Cなどの段階別で評価される。

 また、英語については、「読む」「聴く」の2技能評価から、「書く」「話す」を加えた4技能評価に変わる。これには、実用英語技能検定(英検)やGTECなど民間団体が行う英語資格試験の活用も検討される。