今、国内の製造業、卸売業、小売業が保有する商品在庫は約75兆円といわれている。メーカーから消費者に至るまでの流通の中で、その在庫の3割に当たる約22兆円(「法人企業統計」などより推計)が廃棄処分になっているというデータがある。

マッチングワールドの創業者である町田博社長は、「企業にとって余剰在庫を持ち続けることは、商品の劣化やキャッシュフローの悪化など、さまざまなリスクを伴います。当社が展開する独自開発の『M-マッチングシステム』は、その余剰在庫の問題を解決するITを利用したプラットフォーム。簡単に言うと“在庫を資金化したい企業”と“その在庫を仕入れたい企業”をマッチングさせるサービスです。マッチングが実現すれば、売り手と買い手の双方にメリットが生まれ、在庫の流動化が活発になります」と話す。

創業のきっかけは、全国のゲームソフトの小売店が在庫を抱えて困っているという話を聞いたことにある。

「ゲームソフトの新作が店頭で売れる“旬”の時期は3日程度で、売り切らないと在庫を抱えることになります。しかし地域によって量的な過不足があったり、あるいは商品のピークが過ぎても、市場のどこかで需要があったりするケースがある。もし、小売店同士で在庫の売買ができるマッチングシステムがあれば、在庫の流通が活発に行われるのではないかと考えたのです。当社では現在、時代の変化に対応した新たな商材・販路の拡大に取り組んでいます。既存の枠を超えたビジネス連携や、革新的な製品・サービスとの出合いを求めており、共に成長を志す企業との新たな接点を大切にしています」と町田社長。

マッチングワールドの設立は2001年6月。以来、ゲームとおもちゃ(ゲームソフト、ゲーム機、トレーディングカード、玩具、アニメフィギュア、キャラクターグッズなど)を主力商材として流通の規模を拡大し、現在の累計システム利用は6000社以上、累計取扱商品は130万件に及び、売上高は150億円に達する見込みだ。

匿名性の担保と
徹底した検品体制が強み

「M-マッチングシステム」は、BtoBの在庫流通プラットフォームであり、登録料や年会費、システム利用料などは一切不要だ。売り手は自分の在庫商品の売りたい金額を登録する。その金額で売れれば、損が少なく在庫処分が可能になる。逆に買い手側は、必要としている在庫に適正価格で出合うことができる。

このシステムの最大の特徴は、匿名性が担保されていることにある。買い手が購入の意思決定をした場合、買い手には売り手の情報が開示されず、マッチングワールドが中間に入ることで匿名性が守られる。

町田社長は「在庫を処分したという情報は、業界内にすぐ知れ渡り、それが財務的に正常な範囲内の処分であっても、経営状態が厳しいという風評被害が立ってしまう。そのリスクをなくすために、当社では匿名性を徹底しています」と話す。

もう一つの特徴は、厳格な検品体制を取っていること。商品の入庫時と出庫時に検品を行って、商品の入れ違いや、商品の傷や臭い、汚れなどがないかをチェックする。この検品体制のため、商品到着後にクレームが付く可能性は極めて低い。

「当社の倉庫では、入庫と出庫のダブルチェックを徹底。単なる物流機能ではなく“品質保証の機能”を持たせています。検品を徹底することで、返品リスクの少ない仕組みとしてバイヤーからも評価されています」(町田社長)

個人事業主や副業
したい人にも門戸を開く

BtoBを基本とする「M-マッチングシステム」だが、一般の法人だけでなく、個人事業主や副業をしたい人にも門戸を開いている。

「商品にもよりますが、1個単位から仕入れられることが大きな利点です。例えば、月1万円稼ぎたいという方にとって、当社のシステムはすごく使いやすい。また登録時に申し込みが必要になる決済サービスのマッチングペイは、大手信販会社のオリエントコーポレーションが提供するもので、与信枠が最大で500万円ある。普通、副業レベルでは売り掛けリスクが大きすぎてクレジット枠は与えられません。『M-マッチングシステム』は、この与信枠があることで、販売機会を逃さない仕入れが可能になっています」(町田社長)

前述したように、「M-マッチングシステム」には登録料や年会費、システム利用料がなく、利用者はサイトに表示された商品の代金と送料を支払えばいい。敷居が低いのが強みで、マッチングワールドの副業・兼業の個人登録者は、累計5500人以上に達している。これらの副業ユーザーは、毎月2億5000万円程度を仕入れるという。同社にとっては、自発的に営業してくれる外部の“営業部隊”がいるようなものだ。

フィールドは世界
海外展開を加速させる

マッチングワールドの市場は国内だけでなく、海外にも広がっている。すでに海外売上比率は全体の50%に達している。

「香港を皮切りに中国や他のアジア諸国へ販路を広げていきました。ただし現地に出店してしまうと、地元業者の警戒感を招き、取引につながりにくくなるため、今は出店ではなく供給という形で信頼関係を構築しています」と町田社長。

同社には日本、中国、韓国、香港、台湾出身のメンバーがいて、英語を加えた4カ国語で営業を行い、ワールドワイドな対応を行っている。海外への配送・決済も同社自身が行う。最近は、SNSやYouTube、Google広告などのデジタル施策も取り入れ、情報発信を強化している。現在の海外バイヤー数は800社超。中国や香港などアジア地域がメインだが、今後は英語圏(欧米や中東など)への展開にも力を入れていく方針だ。

「現在、私たちが取り扱っている商品群についていえば、まだ国内市場の5〜6%程度にしかアプローチできていません。つまり既存の商材であっても、国内で大きく成長できる余地は残されているのです。今後もオープンな姿勢で、世界に販路を持つ商社、価値ある商材・パートナーとの連携を精力的に模索していく構えです」(町田社長)

「ペット用品」など
新商材の開拓を進める

市場の拡大とともに、同社が力を入れているのは、新しい商材の開拓である。限られたパイを取り合っているだけでは、成長に限界が来るからだ。現在取り組んでいるのは、国内だけでも1兆円規模のマーケットがあるといわれる「ペット用品」である。

「ペット用品は家庭の中にしっかりと入り込んでいる商品群です。しかも消耗品が多くリピート性がある。まさに当社のマッチングシステムに合っているジャンルです。ただし、在庫の可能性を見極めて、適正価格を判断するためには、その業界に詳しい“目利き”が必要になる。当社では今、ペット用品業界にいた専門バイヤーを迎え入れ、ペット用品の在庫流通を本格的にスタートしようとしています。専門バイヤーがいれば、新しいジャンルでも高い精度で在庫流通を展開できます。

今後もこの方法で、新たな商材のジャンルを見つけたい。もし、『扱いたい商材がある』『新しい販路を探している』といった企業の皆さまには、当社との連携をぜひご検討いただきたい」と町田社長。業界を問わず、共創のパートナーを幅広く募っている。

「M-マッチングシステム」を
AIで進化させる

マッチングワールドでは26年10月を目標に、「M-マッチングシステム」をAI(人工知能)を活用した新システムへと全面リニューアルする予定だ。

「AIによって、取扱商品や在庫情報をリアルタイムで自動分析できるようにして、最適なバイヤーへの商材案内を自動生成、自動配信します。価格設定も過去の取引データを基にAIが判断するようになります。つまりルーティン業務の多くが自動化され、作業効率は飛躍的に向上します。もちろん、専門商材の目利きや新規開拓の判断は人間の仕事です。でも細かい価格設定や案内配信、取引履歴の管理といった作業は、もう人手に頼る時代ではない。この“データとAI”をベースにしたマッチングの高度化によって、処理できる在庫のボリュームも格段に増えるはずです」と町田社長は期待を語る。

例えば、ある商品が過去半年間でどのくらいの利益を出しているかといったデータも、AIを使えばすぐに出せる。必然的にバイヤーの判断材料になり、出品側にも販売見込みが明確になる。同社ではこのAI搭載の「M-マッチングシステム」を、最小限の人員で最大の成果を出すモデルに進化させていくつもりだ。

提携・連携の相談歓迎!
在庫流通の可能性を共に探る

7期連続の増収を続けるマッチングワールド。町田社長は5年以内の売上高300億円を目指している。将来的には1000億円という目標を掲げている。その実現のために「販路の開拓」と「新しい商材の発掘」に余念がない。

実は町田社長は、マッチングワールドを設立する前に46億円分の不良在庫を抱え、倒産した経験がある。

「そのときに痛感したのが、どれだけ価格を下げても、買い手がいなければ意味がない、ということ。だからこそ、着実に販路をつくっていかなければならない。その経験が今のビジネスモデルの原点です。安く仕入れて、検品してきれいにし、匿名で売る。そうした体制があるからこそ、メーカーも安心して在庫を任せられるのです。

特に大手メーカーには、名前を出さずに余剰在庫を処分したいというニーズがあります。当社は、単なる在庫処分業者ではありません。“流通とともに生きる”という哲学があり、きちんと市場価格を見て、適正なマージンで販売します。余剰在庫で困ったとき、“マッチングワールドに頼めばなんとかしてくれる”と、真っ先に思い出してもらえる存在になりたい。在庫の利活用を模索している企業さま、新規市場開拓をお考えの皆さま、ぜひお問い合わせください。共に新たな価値を創出してまいりましょう」(町田社長)

【求む!商材・販路のパートナー】ITと人でサポート。余剰在庫を「機会」に変える流通革命の旗手経済産業省・中小企業庁主催の2023年度「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定され、「事業再構築・生産性向上」部門で選出、表彰を受けた
エンタメホビーショップ「まちキャラ」店舗を展開

マッチングワールドはリアル店舗である「まちキャラ」を首都圏で4店舗運営している。コンセプトは「まちのエンタメホビーショップ」。自社マーチャンダイジングでの品ぞろえを強みにした商品ラインアップを展開中だ。主な商品は、プラモデル、トレーディングカード、フィギュア、コレクターズアイテム、ゲームなどの関連グッズ。

「ネットで売る時代だといっても、お客さまには“現物を見て買いたい”というニーズがあります。現在はホビー関連の専門店が縮小し、なかなか展示スペースを持てないメーカーが増えているのです。リアル店舗で、商品を手に取ってもらうことは販促にもなり、メーカーとの信頼関係の構築にもつながる。将来的には、ゲームセンターとの連動や体験型の店舗設計なども考えています」(町田社長)。2025年9月上旬には5店舗目の「柏モディ店」がオープンする。メーカーと消費者をつなぐ“現場”としての役割を担っている。
【求む!商材・販路のパートナー】ITと人でサポート。余剰在庫を「機会」に変える流通革命の旗手埼玉県さいたま市にある「まちキャラコクーンシティ店」
●問い合わせ先
マッチングワールド株式会社
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町1-11-10 Daiwa日本橋馬喰町Ⅱ 11F
TEL:03-6803-5762
MAIL:inquiry@matching-world.com
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