創続総合研究所
国税OBが明かす 指摘されないための調査対策
【第2回】 2016年7月15日
著者・コラム紹介 バックナンバー
一般社団法人租税調査研究会

マルサよりも怖い!? 国税徴収官の仕事とは

今年2月、国税庁が実施するネット公売に、英国製高級車のロールスロイス・ファントムが出品された。東京国税局が税金滞納者から差し押さえたものだ。滞納者の財産を差し押さえたり、公売に掛けるのは、課税当局の徴収部門の仕事。時に「マルサより恐ろしい」といわれつつも、その存在はあまり世間一般には知られない国税徴収官の仕事はぜひ把握しておきたい。長きにわたり徴収部門で実績を挙げてきた中島洋二税理士に、その実態を聞いた。

マルサにない捜査権限で
財産を差し押さえ公売に

――お金があるにもかかわらず、意図的に税金を納めない人もいます。こうした滞納者から税金を徴収するのが国税徴収官ですが、その存在はほとんど知られていません。

nakajima中島洋二(なかじま・ようじ)
税理士。租税調査研究会主任研究員。東京国税局徴収部S-1特別徴収官、鎌倉税務署長、同局徴収部機動課長、同部管理運営課長、同局徴収部次長、横浜中税務署長を歴任し、退職。2013年8月、税理士登録。
Photo by TAKASHI MIYAUCHI

中島 国税徴収官の仕事は、本来納めるべき税金が滞納されている場合、滞納者の資産や職業、家族構成などを調べた上で法律に基づいて納税を催促することです。

 また、国税の徴収に関する事務の指導・監督、法令の解釈・適用および不服申し立て、訴訟に関する事務を行う他、滞納の整理促進を図るための施策を企画・立案も行います。

 こうした仕事が主なので、一般納税者には、あまり知られていないのでしょう。

――とはいえ、国税徴収官には、国税査察官(マルサ)にない強い権限がありますね。

中島 国税徴収法142条の「徴収職員は、滞納処分のため必要がある時は、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる」に基づき、「徴収職員証票」を示せば、滞納者の自宅などの捜索・差し押さえを行う権限が与えられています。

 一般税務職員が行う税務調査は、任意調査ですので納税者の同意が必要です。一方、マルサは納税者の同意なしに強制捜査ができますが、その際は裁判所の令状が必要になります。警察官も同様です。つまり、令状なしで強制捜査できるのは、国税徴収官だけなのです。

 全国12の国税局には徴収課があり、管轄下にある税務署の徴収部門を管理・管轄しています。また、特別整理部門では、大口の滞納整理や処理困難事案を扱っています。
※参考:国税徴収官の仕事の詳細について(KaikeiZineの記事)

 徴収部門の実務責任者は、特別国税徴収官あるいは統括国税徴収官という役職者で、主に免脱事件や大企業、著名人を担当します。

創続総合研究所 特集TOPに戻る

SPECIAL TOPICS

国税調査官、税務署長など国税出身の税理士により、適正な税務判断と適正納税のための総合的な税務審理アドバイス、調査対応支援を目的に設立。企業の財務・会計担当者や会計人向けセミナー、個別相談対応の他、執筆活動なども行っている。
http://zeimusoudan.biz/


国税OBが明かす 指摘されないための調査対策

近年は、年間1万件以上の相続に税務調査が入り、うち85%が「非違(誤り)」の認定を受けている。各種税務調査で指摘されないための自衛策とは。税務調査官や税務署長としての経歴を持つ国税OBの税理士たちがリアルに明かす。

「国税OBが明かす 指摘されないための調査対策」

⇒バックナンバー一覧