大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら歴史を逆引きするのがテーマだ。今回は、1989年末の株バブル頂点の時期まで逆引きする。(坪井賢一)

「日経平均株価4万円達成」の読みは
はかなく裏切られることに…

 1989年12月29日、日経平均株価は大納会のこの日、終値で3万8915円のピークにいたった。

 その直前、「週刊ダイヤモンド」1989年12月16日号は、「特集 東京株価来春4万円への期待」を組んで、相場の読みを紹介している。

「市場関係者は日米金利差縮小から、いずれ国内金利も低下すると読んでいる。為替も140円台“前半の前半”で一応安定。こうした金融環境を背景に、株式市場は力強い動きをみせている。(1989年)10月末くらいまでは、年末に日経平均で3万7000円に乗せるかどうかという見方が多かったが、ここにきて年末に3万8000円乗せもあるとの強気の見方も増えている。」

 実際に大納会で3万8915円まで上昇した。

「(1989年)年初以来、政局不安、ドル高などの不安要因に悩まされ続けた東京株式市場だが、今年も終わってみれば年間2割前後の上昇ということになりそうだ(今年の1月4日の日経平均株価は3万0272円72銭)。」

「来年(1990年)1年間でみれば今年並みの2割前後の上昇率を予想する声がほとんど。4万円乗せも市場関係者の意見を総合すると、来年春あたりに達成する見通しだ。」

 そして注目株を建設・不動産におき、また個別企業の保有資産の内容に触れるなど、地価高騰の影響を指摘している。当時としては常識的な見解だろう。

 しかし、実際の株価は1990年に入ると下がり、10月には暴落する。20年後の現在の株価はご承知のとおり、1万円に満たない低水準である。

 このように、日本の資産バブルは1989年に株価が頂点に、不動産バブルは1990年に頂点にいたった。不動産バブルについては連載第8回第9回で書いたとおりである。