10月1日からついにたばこ増税が始まった。それに伴い、メーカー各社は軒並みたばこ価格の大幅値上げに踏み切った。中長期的にリサーチしなければわからないとはいえ、過去に例を見ない価格上昇は愛煙家の懐を直撃し、国の財政や産業界に大きな影響を与えそうだ。そのインパクトはどれほどのものか? この機会に改めて検証してみよう。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

大幅値上げで「庶民のたばこ」が貴重品に?
国が描く青写真に「禁煙ファシズム脅威論」も

 「これからはもう、同僚や友達に気軽に『1本ちょうだい』なんて言えなくなっちゃうね。今回の大幅な値上げで、たばこは庶民にとって貴重品になるのでは? (増税は)そういった生活風景の変化に繋がることだと思う」

 そうガッカリしたように語るのは、スモーカー歴20年の会社員。まだまだ個人の収入レベルで景気の回復が自覚できない現在、10月1日から始まった「たばこ増税」が愛煙家の財布に与える影響は大きい。

 2009年末、時の鳩山政権による閣議決定で、たばこにかかる税金はこの10月1日から1本につき3.5円引き上げられることになった。それに伴い、たばこメーカー各社はたばこ価格を一斉に引き上げた。

 具体的には、『マールボロ』『マイルドセブン』『ケント』(一部を除く)などが1箱あたり110円アップ、『セブンスター』『ピース』『ラッキーストライク』などが120円アップとなる。ひと頃よく話題に上った「1箱1000円時代」の到来こそまぬがれたが、一日に数箱を消費するチェーンスモーカーにとっては、百数十円の値上げもバカにならないだろう。

 確かにたばこは、これまでのように無遠慮に人にねだるには、少々カドが立ちそうな価格帯に突入しつつある。これにより、「喫煙所の顔ぶれが様変わりする」といった日常の変化も少なからず起きそうだ。

 ちなみに、行政が描く理想的な青写真は、増税によって税収アップを果たし、なおかつ喫煙者の減少が国民の健康増進に繋がり、ひいてはそれが国の医療費負担の軽減につながる――というものだ。