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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

円高で企業利益は見通しよりも確実に悪化する

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第71回】 2016年7月21日
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円高は、輸出産業の業績には、強い逆風になる

 この数年間、日本の大企業の利益は、軒並み史上最高益を記録していた。

 その大部分は、円安によって円建ての売上高が増加したことによるものだった。したがって、為替レートが円高になると、利益は減少する。すでに多くの企業が円高による減益見通しを公表しているが、これらは英EU離脱以前のものだ。その後さらに円高が進んだので、減益額はさらに大きくなる可能性が強い。

2015年秋以降円高が進む
企業利益の動向も変化

 2015年の秋以降、為替レートの動向が変わり、円高への動きが進んでいる。15年6~8月には1ドル123円程度だったが、9、10月には120円程度になった。円高への動きは、今年に入ってからさらに顕著になり、4、5月には110円程度となった。さらに6月には105円程度となっている。

 こうした動きの背景として、これまで増加してきた企業利益の動向が変化している。

 これまでの企業の利益の推移を法人企業統計によって見ると、図表1~3のとおりだ。

 15年7~9月期の世界経済混乱以降の3四半期における経常利益の減少が注目される。

 全産業、全規模では、16年1~3月期の経常利益は15年4~6月期から21.6%減少し、異次元緩和直後の13年4~6月期の水準にまで減少した。

 製造業では、13年1~3月期と比べると、営業利益がほぼ同じだが、経常利益はかなり減っている。とくに、15年7~9期以降の落ち込みが顕著だ。16年1~3月期の経常利益は、15年4~6月期から41.4%減少し、12年10~12月期に近い水準にまで落ち込んだ。また、営業利益も16年1~3月期には前期より減少している。

 非製造業では、13年1~3月期よりは多いが、15年4~6月期よりは少ない。15年7~9月期以降伸び悩んでいることが分かる。15年4~6月期から16年1~3月期の期間で、経常利益が約10.7%減少している。

 上記の期間には、原材料価格の下落や、原油価格下落の効果もあったはずである。それにもかかわらず利益が伸び悩み、あるいは落ち込んでいるのが問題だ。

図表1:営業利益と経常利益(全産業、全規模)

(資料)法人企業統計

◆図表2:営業利益と経常利益(製造業、全規模)

(資料)法人企業統計

◆図表3:営業利益と経常利益(非製造業、全規模)

(資料)法人企業統計
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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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