F小学校、「水害」避難所開設!
2007年9月6日夜、自宅の電話が鳴りました。私がPTA会長を務めていた、世田谷区立F小学校からです。校長先生が緊張感を含んだ声で私に伝えます。
「台風に備えて、われわれは学校に泊まり込みますので」
東京を直撃するコースに乗った台風9号が、まさにそこまで迫ってきていました。
F町は多摩川のお膝元。普段から流量は豊かなのですが、年に一、二度は大きく増水し中洲が水没するほどになります。実際、1974年には数キロ上流の狛江市で堤防が決壊し、民家19戸が流出してもいます。
将来的には、もっと桁違いに大きな水害も起こりえます。国土交通省は多摩川下流において「200年に1回程度起こる大雨で洪水が発生し堤防が決壊した場合、氾濫が想定される面積は約9000ha、被害額は約10兆2000億円」と推定しています。
間違うなかれ、200年後、ではありません。200年に一度程度、です。一生の間にこの壊滅的水害に遭う確率は1/3以上です。
川沿いの住人にとって「水害」は遠いどこかの話ではなく、「そこにある危機」なのです。
この日の雨は関東山間部で夜通し降り続き、急流である多摩川の水位は即座に上昇しました。あっという間に何十面もの野球場、サッカー場、テニスコートが濁流の下に消え、憩いの場である小高い丘も、大部分が水没しました。
ついに翌朝7日の午前5時、F小学校に避難所が開設され、6時20分には地元住民1500人に対して、避難勧告が発令されました。
この時の最高水位は8.6メートル。堤防越水まであと90cmでした。決壊すれば付近の水深は2~5メートルに達します。