日本への「留学生30万人計画」が招く深刻な“質”の低下(写真はイメージです)

 外国人留学生が増えている。独立行政法人日本学生支援機構によれば、2015年度の外国人留学生は20万8379人となり、20万人の大台を突破したという(参考「外国人留学生数の推移」)。日本の大学生と専門学校の在学生はざっと350万人だとすると、約17人に1人が留学生となる計算だ。

 年々増え続ける留学生だが、その背景には、2008年に日本政府がぶち上げた「留学生30万人計画」がある。政府は「高度人材受け入れとも連携させながら、優秀な留学生を戦略的に獲得していく」として、日本のグローバル化戦略に優秀な留学生を組み込む一方、将来的に進行する人口減少を留学生の日本への定住とともに補う算段だ。

 すでに人口減少は大学経営を直撃している。巷で「名前さえ書けば合格を出す大学すらある」とささやかれるように、少子化に伴う大学の定員割れで「大学全入時代」を迎える今、多くの大学がAO入試を積極的に取り入れたり、推薦入試枠を拡大するなど、入試選抜のハードルは下がる一方だ。

 文部科学省によれば、日本には国立大学86校、公立大学86校、私立大学603校の合計775校がある(2015年4月1日現在)というが、今夏、読売新聞が「44%の私大が定員割れ」を報じ、衝撃を与えた。供給が需要を上回る市場では、埋まらない定員を補う存在として、「外国人留学生」の取り込みに躍起なのだ。

観光PRと化す
学校案内パンフレット

 留学生向けの入試を目前に控えたこの時期、東京都心部の日本語学校では職員がある作業に追われていた。毎日のように全国各地の大学から送られてくる学校案内パンフレットの開封作業だ。パンフレット発送は日本語学校に留学している外国人に向けた「卒業後はうちの大学に」という“売り込み合戦”の一端である。