ここ数年、就職活動で疲弊する学生がニュースで取り上げられるようになりました。社会状況の変化はもちろんですが、多くの学生が相変わらず世間から与えられた「業種」や「企業規模」といった既存のフィルターにしか目を向けていないことも、就活をこじらせる原因になっているのではないでしょうか。

何もわかっていない学生たち

 毎年発表される「大学生が就職を希望する人気企業ランキング」、社会人の中にはあれを見ると苦笑してしまう方も多いでしょう。あのランキングは「学生がいかに世の中をわかっていないかを示す証拠資料」のようなものです。

 しかしそのリストを失笑まじりに眺める社会人の私たちも、自分が就職活動をしていたころにはなにもわかっていませんでした。もちろん学生時代のちきりんも同じです。

 超のつく売り手市場であったため、就職活動らしい活動をまったく経験しなかったバブル世代の学生も、企業研究や業界研究に余念のない現在の学生も、「現実の企業社会についてほとんどなにも理解していない」という点においては同じようなレベルです。

 学生が企業の先輩を訪問するOB訪問でも、学生が発する質問は、「御社の社風は?」「仕事にやりがいはありますか?」「成長できますか?」など、社会人側から見ればあまりに意味のない質問ばかりです。いったいなぜこんなことが起こるのでしょう?