ちきりんのフィルターは?

 ちなみに、ちきりんにとっては「仕事の成果が見えるまでの期間」というフィルターがとても重要です。

 成果が見えるまでの期間によるフィルタリング

・その日のうちに成果がわかる

・成果は数ヶ月から1年で見える

・成果が見えるまでに数年が必要

・成果が見えるまでに十数年が必要

 仕事の中には、結果が見えるまでの時間がものすごく短い仕事があります。たとえば金融商品のディーラーであれば、取引結果は数時間後、遅くても毎日、強制的に計算されます。

 こういう仕事は、「終わったことは即座に頭から追い出し、一瞬にして気持ちをリセットできる人」に向く仕事です。ちきりんのように常に過去を振り返り、「なぜこうなったの?」と考え込む人には向いていません。そんなことをしている間に、次の勝負がはじまってしまうからです。

 マーケティングや営業なら、なんらかの工夫をしてから実際に売上が上がるまでは数週間から数ヶ月でしょう。自動車の開発は数年単位のプロジェクトですし、薬の開発であれば、仕事の成果を見るには十年単位の期間が必要です。

 この中でちきりんに合っているのは「数ヶ月くらいで成果の見える仕事」です。私の場合、十年単位でしか成果の見えない仕事は(たとえそれがどんなに大きく世の中を変えうる仕事であっても)やる気が持続しません。

 じつはこれは、文章を書く場合にも同じです。私は文章を書くことは好きですが、5年かけて構想を練り、綿密な取材をして千ページにおよぶ長編小説を書きあげるような仕事はできません。成果が見えるまでの期間が長すぎて、意欲が持続できないのです。

 世の中には「文章を書くのが好き!」→「だから物書きになりたい!」という人も多そうですが、(子供のときの夢ならそれでもいいでしょうが)現実的には、そんな大雑把なフィルターで職業適性を判断するのはむずかしいのです。
 

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