中国の銀行同士で資金を融通し合う短期金利が一時上昇し、その結果、上海株が暴落し、世界各国の株式市場にも波及している。この中国での短期金利の上昇には、中国のシャドーバンキング(陰の銀行)の問題がある。

 シャドーバンキングが問題になったのは、米国発のリーマンショックの原因としてその急速な拡大があったからだ。

 リーマンショックの原因をたどるとサブプライムローン問題であり、証券化手法によってリスクが見えなくなっていたものが一気に顕在化したのが原因だった。このため、シャドーバンキングをどのように規制監督するかが世界の金融監督者間の問題だった。

 シャドーバンキングは「ノンバンクによる信用仲介システムのうち、システミックリスクおよび(または)規制格差(regulatory arbitrage)の懸念をもたらすもの」と一般的に定義されている。

 具体的なシャドーバンキングは、①住宅関連のモーゲージブローカー、②ファイナンス会社、③資産担保証券の発行者、④資産担保コマーシャルペーパーの発行者、⑤銀行の連結対象の投資子会社、⑥マネー・マーケット・ファンド、⑦ノンバンク、⑧ヘッジファンド、⑨デリバティブ商品会社、⑩銀行持株会社等で構成される。

中国の現状は、米国のサブプライム
~リーマンショックの過程と同じなのか

 シャドーバンキングは中国にもあるが、国営の金融機関の間隙を縫って近年急速に拡大しており、その影響が懸念されている。中国のシャドーバンキングとして、ノンバンク経由と信託経由のプロジェクトファイナンスがある。資金の出し手について、前者は企業や企業集団であるが後者は個人だ。これらのシャドーバンキングを通じて、企業や個人の大量のマネーが地方における不動産開発に流れ込んでいるといわれている。