『週刊ダイヤモンド』5月3・10日合併号では、「年収1000万円の不幸」という特集を組んだ。ここでは特集関連のスペシャルコンテンツとして、3万件以上の家計を改善してきたお金のプロ、藤川太氏のインタビューを掲載する。フィナンシャルプランナーとして「家計の見直し相談センター」を運営する藤川氏に、年収1000万円世帯が抱えるお金の問題について聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 清水量介)
景気のいい時に勘違い
後で困る1000万円世帯
――藤川さんが運営されている「家計の見直し相談センター」とはどのようなところですか。
1968年、山口県生まれ。生活デザイン社長。慶応義塾大学大学院理工学研究科を終了後、自動車会社での研究者を経て、フィナンシャルプランナーに。2001年、「家計の見直しセンター」設立。『サラリーマンは2度破産する』など著書多数。
これまでに3万件以上、家計を見直したい家庭の相談を受けてきました。実は、窓口に来る方の7~8割は年収1000万円世帯です。金融、商社、マスコミといった業界も目立ちますが、他の業界の方もまんべんなくいらっしゃいますね。
「なぜ高収入なのに相談にくるのか」と意外に思われるかもしれません。しかし、実際には「自分は年収1000万円を稼いでいるから」という自負を持っている人が多く、出費が過大になり、将来への見通しが甘くなるケースが多いのです。だいたい年収700万円くらいから、その傾向があって、浪費をし始めますね。
最近、多いのが住宅を購入しようというパターンです。今のように景気がよくなりはじめると、それまで我慢していた反動で動き出す。「今買わないと、どんどん値上りして、今後、買えなくなるのでは」と。
本来なら、好景気の時ほど、気持ちを引き締めたほうがいい。
なぜなら、好景気のときは、社業が上向いてボーナスも多めにでるでしょうし、忙しいから残業代も多くなる。つまり、年収がかさ上げされているのです。